2015年01月04日

耳下腺腫瘍 術後3日目

12月27日 術後3日目
入院生活にもだいぶ慣れてきました。朝の診察でドレーンを抜きました。最初からあまり血も浸出液も出ず、昨日からはほぼゼロといった感じだったので、無くても差支えないのでしょう。首から下げていたポシェットが無くなって少し寂しいですが、煩わしさが無くなってサッパリです。

こういった処置は多少なりとも痛みを伴うものです。傷口の側ですから障らないわけはありません。でも大抵は「ちょっとチクっとしますよ」の一言でエイっと行われてしまいます。我々はそんなものだと思っていますし、日常の診療の中で痛みの程度を想像する機会が多いためでしょうか、許容できます。しかし普通の患者さんはそうではありません。何をされるか分からない恐怖も相まって痛さ倍増かもしれません。麻酔をすればいいじゃないかと考える方もいるでしょう。しかし麻酔の注射も痛いので、小さな処置では本末転倒になってしまいます。結局のところ、相手の許容度を良く読んで、それを充分理解した対応をするしかないのかもしれません。

夕方には点滴も無くなるので、首から下の入浴許可を頂きました。体重測定がありましたが、なんと2kgも増量です。運動不足もあるでしょうが、点滴にも食事にも糖質タップリなのが原因でしょう。退院時が怖いです。トイレでの痛みも無くなりました。アンパンマンのように腫れていた顔もジャムおじさんくらいになってきました。耳朶の感覚が無いのは相変わらずですが、左頬の感覚は心なしか回復しているようです。厚い布地越しに触ってるような感じです。足が痺れたときのようなジーンとした感覚もあります。

4日ぶりに入るシャワーはとても気持ちが良かったです。創部と点滴の留置部をビニールでカバーするんですが、どうしてもちょっと滲みちゃいますね。夕食後に最後の点滴があり、いよいよ点滴のラインからも解放されました。少しづつ管が減っていき、快方に向かっていることを実感します。グロい見た目さえ気にしなければ、明日からでも働けそうです。アクビして大口開けるとまだ痛むけど。
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耳下腺腫瘍 術後2日目

12月26日 術後2日目
朝起きると検温、朝食、そして診察です。診察といっても張ってあるフィルムの上から観察したり、ちょっと押したりしておしまいです。終わると間も無く点滴が始まります。止血剤と抗生剤と胃薬とこれでもかっと言うくらい次々に入れます。水ぶくれしてしまいそうです。おかげでトイレが近い。点滴を引きずってトイレに行くんですが、バルーンを入れていたせいでとても痛い。しばらくはトイレが恐怖になりました。

傷口は昨日と変わらず、特に痛くもありません。食べる時に大きく開かない以外は不自由も無し。ただベッドで起き上がろうとする時に首が筋肉痛のように痛い。切ってない右側も痛むので、傷とは関係ない感じです。長時間の手術中に不自然な姿勢を取ったのかもしれません。寝違えたかのような感じでしょうか。午後には収まってきました。

年末で面白いTV番組も無く、ネットもろくろく繋がらない。実は身内以外には手術の事を話していないので見舞客もいない。本当に暇なので、この闘病記を書くことにしました。友人に話せなかったのは、顔面神経麻痺の可能性があったことも大きいです。目が閉じなくなったり、口が曲がったりしたら、たぶん誰とも会いたくないでしょう。ほら顔が自慢ですから(冗談です)。良性であれば後で笑って話せば心配かけることもないし、悪性だったら...ちゃんと心の整理がついてから話したいじゃないですか。

院内は暖かいですが非常に乾燥しています。朝干したタオルが昼にはパリパリです。体もカサカサで痒いです。そろそろ風呂が恋しくなってきました。耳朶は相変わらず感覚が無いのですが、不思議と痒みだけありました。しかしいくらかいても痒みは満たされない不思議な感じ。ピアスの穴を空けるならチャンスかも(空けませんが)。
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耳下腺腫瘍 術後1日

12月25日 術後1日
7時前頃に起こされ、オシッコの管(バルーン)を抜いてもらいました。これも微妙な痛みですが、その後初めてトイレに行った時の痛みは半端無かった。おそらく麻酔のゼリーがダラダラ出て、知らないとウミかと思うかもしれません。体を拭いてもらって着替え、やっと動けるようになりました。特にフラつきもありませんでした。

トイレの鏡で見てみると、顔の左半分はアンパンマンのように腫れていました。耳の前から顎下の首にかけて半透明な被覆材でシールされ、耳の後ろからはドレーンチューブが出ています。ドレーンとは体内に挿入されたチューブで、腫瘍をくり抜いた空洞に溜まる血や浸出液を排出するものです。しばらくはそれを溜めておく箱を首からぶら下げて歩くのです。可愛いポーチに入っているんですが、院内をお散歩する時にiPhoneやお財布を入れるのに便利でした。

診察後、約3食ぶりに食事です。納豆ご飯がこれほど美味いとは思いませんでした。その時に口が大きく開かないことに気が付きました。テープで突っ張ってるのと痛みが原因でしょうか。お行儀よく食べる他ありません。物足らなくて売店でアイスを買って食べました。

リカバリールームから戻り、タオルで顔を拭いたり歯を磨いたりしました。この時、左の頰と耳下半分の感覚が全く無いことに気付きました。それまでテープに覆われているからだと思っていましたが、そこは外に露出しています。耳朶をつねっても引っ張っても全く分からないのです。他人の耳朶の様でした。

耳朶に感じる、犬を抱き寄せた時のくすぐったさや、自転車で感じる冷たい風が好きでした。ちょっと残念です。誰もいない病棟の隅っこで口笛を吹いてみましたが、こちらは全然問題ありませんでした。なんとか無事に終わった開放感で、とても幸せなクリスマスでした。
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耳下腺腫瘍 手術

12月24日 手術当日
普段と同じく6時前には目が覚めてしまいます。1年で一番、日が短い頃ですから外は真っ暗です。何もすることが無いので、しばらくボーっと東の空が明るくなるのを眺めていました。この数ヶ月、何をしていても常に気掛かりだった手術の日がついにやってきました。私はこれまで身体にメスを入れた事がありませんでした。眼科とはいえ、かつては日常的に何件も手術してきたのに、自分の時はそれなりに恐怖感があるものです。昨夜零時から絶飲食なので、朝食も昼食も摂れません。OS1という脱水防止の水500mlしか飲めません。ポカリのような甘ったるい味で喉をかき、かえって渇きます。手術は午後12:30頃と言われていました。頃というのは、その前に他の手術が入っていて終わり次第ということです。私の大学ではオンコールと言っていました。なるべく沢山の手術を詰め込むため、一つ一つの手術時間を短めに申告してます。ただでさえ手術は予定外の事件が起こります。よって大抵遅れるものです。

いよいよ13:00頃にお迎えが来て、歩いて手術室に向かいます。最近は取り違えや左右間違いなどの事故防止のためのチェックが厳しいです。入口で前日足にマークした左右を示すマジックを確認したり手首のバンドや名前の自己申告があります。緊張して46歳なのに64歳と答えてしまいました。ベッドに横になり左手に点滴のルートと酸素飽和度を測る装置が付けられ、胸に心電図のシールを貼られ、酸素マスクを装着されます。こうしたことがまるでF1のピットクルーがやるようにキビキビと同時進行するので、考える間もありません。だいたい何をやっているのか手順が理解しながらボンヤリ天井の無影灯を見ていました。
「眠くなるお薬が入りますね」という麻酔科医の声が聞こえたとほぼ同時に意識が遠くなりました。

術直後
実は手術後最初の記憶は帰室後なので、麻酔から覚めてからしばらくはかなり意識が混濁していたようです。ベッドに移されエレベーターに乗ってるはずなのに、どうやって戻ってきたのか覚えていません。ぼやけた視界の中で家族が見えたこと、ドクターの術中迅速病理では良性の多形腺腫であると伝えられた事はしっかり理解していました。時間を尋ねると17:00を過ぎている。4時間近く掛かっていました。当初2〜3時間と聞いていたので、存外手間がかかったのかもしれません。これまた記憶が曖昧なんですが、恐らく顔面神経麻痺の有無を確認するために「い〜」とか「う〜」とか言わされたようです。問題なく出来てホッとしました。
すぐに家族も帰宅し、リカバリールームというナースステーションに近い大部屋に一人になりました。自由になる右手で顔を探りますが様子がよく分かりませんでした。耳から首にかけてテープで頑丈に覆われているようです。痛みはありませんでした。ただ暑かった。風邪をひいて高熱がある時のようです。しばらく吐気もありました。船酔いを堪えるようにもがいている内に収まりました。おそらくうつらうつらとしていたんでしょう。時折聞こえる周囲の物音で刹那覚醒し、時間の推移を知る事が出来ました。夕食のワゴンの音、売店が閉まる放送、消灯時間のチャイム。その後は2時間ごとに来る夜勤のナースの気配だけ。メガネもコンタクトも無いため視界はボヤけ、薄暗がりで、ただ時間が経つのを耐えていました。そうして長いクリスマスイブの夜は明けました。
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耳下腺腫瘍 入院初日

12/23 入院初日
入院して病棟に上がると、なんとなく懐かしい感じがします。私が長く過ごした大学病院と同じ雰囲気がします。ちょっと古い首都圏の大学病院はみんな似たような感じなのかもしれません。疲れた無精ヒゲの若いドクターや、キビキビ立ちまわるナースを見ていて、自分の研修時代を懐かしく思い出しました。いくつかの検査と説明があった後は山のような承諾書にサインです。最近は何をするんでも承諾書が必要です。しかしそれも終わると後はやることがありません。ひたすら暇です。持っていったiPadですが、格安SIMのせいか、環境のせいか、ネットのつながりが悪くて使い物になりません。TVを観ているうちに、いつのまにか寝てしまいました。
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耳下腺腫瘍 治療方針

11月 治療方針
選択の余地がないと言う事は迷う必要が無く、かえって楽でした。こういう場合、取りあえず他に治療方法が無いか右往左往、いや情報収集するのが普通でしょう。商売柄、私はこの手の病気には標準的な治療方針があって、どこにかかっても大きな違いはないと思っていました。幸い自分で専門的な文献をあたることもできました。極めて稀な腫瘍なので、手術件数や成績を参考にすることはあまり意味がありません。自分が信頼できるドクターであればそれで良いと思いました。

ちなみに執刀医のドクターは若くて綺麗な目をした好青年でした。私が大学病院にいた、同じような年の頃より、はるかに熱心で健康的です。 ハッキリした説明も好印象でした。
検査の結果、腫瘍の境界が不鮮明であること、痛みがある事、血流が豊富である事から悪性の可能性があると告げられました。

余談ですが、私も病気の説明をする時にハッキリと言う方です。診察台の向こうに喋っているのは自分ではないかと思いました。ただ私のように情報に恵まれている場合と、全くの素人では受け止め方が違うかもしれません。人によっては気持ちに寄り添いつつ、時間をかけて納得してもらった方がいいと実感しました。

こうして手術の予定が組まれ、準備のために追加の検査をしました。全身麻酔なので、レントゲンや心電図、呼吸機能などです。ちょっと中性脂肪が高かったのはショックでした。

12月 準備
手術には最大10日ほどの入院が必要です。こうなると開業医としては死活問題です。外来に穴が空くのは仕方ないとしても、紹介した手術患者さんの術後管理や、多くはないですが経過の心配な患者さんに対し責任持って対処しないといけません。事情を酌んで御高配頂いた医療センターの先生に、この場を借りて御礼申し上げます。

もし悪性であれば、これまでのように働くのは難しいかもしれない。顔面神経麻痺になれば顔が曲がって子供たちに怖がられてしまうな、とか、転移したら闘いながらどれくらい生きられるかしらと、暗いことをツラツラ考えてしまいました。大好きな釣りをしていても、自転車に乗っていても、いくらお酒を飲んでも、到底拭い去ることのできない不安です。こういう場合、分かっている材料を等しく客観視する事が大切です。しかし悪い材料を怖れて忌避し、良い材料にすがろうとするものです。私もそうでした。しかし最終的には医師目線で自身を客観視することを心掛けるようにしました。その結果、自分も自身の主治医の一人になったような感覚がありました。

病気の診断には絶対はありません。必ず未知の部分があります。医療者として未知の部分を説明しなければならない事は多々あります。しかも、その可能性について余すことなく説明する義務があります。しかしこれが患者さんの未知の部分への怖れを増長してしまいがちです。未知の暗闇に目を凝らしても今はまだ見えないのです。そこに猛獣が潜んでいるのか、ただの影なのか。私たち医療者は怯える患者さんの手を取って見える所まで連れて行かなければなりません。そしてそこまで一緒に来たのなら、もし結果が患者さんの望むものでなくても、決して手を離してはいけないのだと思います。

私は楽天的なので、まあ大丈夫だろうと考えるに至りました。また、病院の都合で予定が1週間遅れ、クリスマスイブの手術予定となりました。結果的に仕事への影響は最小限で済むし、何と言ってもクリスマスイブですから成功するような気がしてきました。
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耳下腺腫瘍 きっかけ〜検査

左耳の下にある唾液腺(耳下腺)に腫瘍が出来て、入院手術を経験しました。その闘病記を残しておくことにします。10万人に数人という比較的稀な疾患で、Blogなどの情報が少ない事に気付いたこと、また専門外ですが医師という視点から書けたら面白いかもしれないと思ったこと、心配おかけした皆様に少しでも説明になればと思ったこと、そして入院中あまりにヒマだったことがその動機です。
キーワードを辿って此処に行き着いた、同じ病気のあなた。その不安を少しでも和らげる助けになれば幸いです。

2014年3月 きっかけ
左の耳の下、ちょうど顎骨の角の裏にシコリがある事に気付きました。弾力のある滑らかな感触で、直径2センチくらい。ちょうど顎関節症を患っていたので、関節のトラブルかと思いました。痛みも無く、邪魔にもならないので放置していました。実は歯科受診の際に精査を勧められたんですが、タイミング合わずそのままになってしまいました。

9月 症状の変化
丁度しこりの周囲が急に腫れてズキズキと痛くなりました。最初は扁桃腺でも腫れたかと思いました。しかし明らかにシコリが痛みの中心で、いつまでたっても改善しませんでした。心なしかシコリ自体も大きくなっています。耐えかねて同じ学校医をされている耳鼻科を受診しました。そこで初めて唾液腺の一つ、耳下腺の腫瘍が疑われると知らされました。

10月 検査
義父が耳鼻科医だったので、そのツテで大学病院を受診し、詳しく調べることになりました。MRI、造影CT、超音波などの画像診断と、シコリに針を刺して中身を吸引する生検を行いました。腫れと痛みは徐々に引き、元のシコリに戻ったようでした。時折、つーんとする感じ、いわゆる疼痛というのはありました。唾液が出るときに痛むとか、食べ物によってとか、全く関係ありません。唐突に始まって小一時間程で収まってゆく感じです。外見的は触診の際にはドクターでも探しにくく、「ホラここですここです。」と伝えないと帰されちゃいそうなほど無症状。

11月 検査結果
検査の結果が出ました。「耳下腺腫瘍」で間違いないようです。ただ耳下腺腫瘍には良性と悪性があります。良性のものも一部は悪性に変化します。悪性とはつまりそこで破壊的な増大をきたしたり、転移して命に関わるという事です。また良性のままでも、ゆくゆくは大きくなって近くを通る顔面神経に影響が及び、麻痺を起こすことがあります。どっちにしても薬などで小さくしたりすることは出来ないので、手術で取るしかないのです。同時に確定診断は取ってみないと分からないのです。もちろん大きくなるにしろ、悪性化するにしろ、転移するにしろ、今すぐという訳ではありません。ただこの半年の変化を考えると、年単位で放置という選択肢は無いようです。
posted by kawagucci at 16:06| 耳下腺腫瘍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月25日

続・年末年始について

 入院先の病院から連絡があり、ベットの都合で入院が一週間ずれることになりました。12月23日から翌1月7日まで休診させて下さい。急に予定が変更となり申し訳ございません。結果的に診療には余り影響が無くて良かったです。
 ちなみに今のところ検査結果はあまり深刻な状況では無く、来年も元気に働けそうです。ご心配おかけして誠に申し訳ございません。皆さんもお身体に気をつけて下さい。

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取り急ぎ、ご報告まで。
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2014年11月13日

休診のお知らせ

 年末年始の予定ですが、12月17日から来年1月4日まで休診となります。年末年始に長期間、ご迷惑をお掛けすることとなり、申し訳ございません。

 思いがけず入院して手術を受ける事となりました。その前後、恐らく診療には差し支えありません。ご心配おかけして重ね重ね申し訳ございません。

 休診中、スタッフは院内にて12月27日12時半まで例年通り対応します。12月前半はもしかしたら混雑するかもしれません。

 日に日に秋が深まる今日この頃です。皆様も身体に気をつけてお過ごし下さい。

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posted by kawagucci at 11:51| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月08日

火災報知器の誤作動

 今日の夕方、当院の火災報知器が鳴り、消防が出動しました。たまたま休診日で自宅に居たところ、連絡をいただきました。結局、誤作動で火災はありませんでした。火災報知器が老朽化しており、誤作動したようです。消防に確認して頂きました。

 夕方の時間、長時間けたたましく警報がなったようで大変ご迷惑おかけしました。心配おかけして申し訳ございません。ビル管理会社の方で早速対応していただけるようで、今後このような事は無いと思われます。

取り急ぎ、ご連絡まで。

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posted by kawagucci at 20:12| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする