2015年01月04日

耳下腺腫瘍 術後7日目

12月31日 術後7日目
手術してからとうとう1週間です。傷は痛くも痒くもなく、腫れが残ってるくらいです。紙テープになって分かったのは、首を大きく動かそうとすると突っ張る感じがする事。テープの張力のせいかと思っていましたが、これは傷周辺の腫れや、もしかしたら組織の短縮や瘢痕のせいかもしれません。後ろを振り返るようなことをしなければ、特に不都合はありません。

病院食もいよいよ最後です。基本は従来のカロリーベースで調整された食事なので、野菜が多く脂の少ない薄味なものです。当然のように白米は三食たっぷり付きます。普段は肉や魚など蛋白質が多く、ほとんど炭水化物を摂らない食事なので、これは食習慣的にも精神的にもキツかったです。
冷蔵庫には副食で出た甘ったるいゼリーやジュースが大量に貯まってしまいました。帰ったらガッツリ脂の乗った肉が食いたい、新鮮な生魚が食いたい、そんなそんな妄想でうなされそうでした。意外と酒には執着しませんでした。まだ本物のアルコール依存性ではないってことかもしれません。
朝の診察で残り半分の糸を抜糸しました。傷を寄せておく小さな短冊形のテープを貼ってもらって終了です。最後のお風呂から戻ると退院の連絡が来ました。着替えて会計を済ませ、晴れて退院しました。

家に帰る前に豆乳ラテを飲んでみたり、立ち食いステーキ店でサーロイン食べてみたり、寄り道して入院時の鬱憤を晴らしました。いきなり大晦日の街に出て、浦島太郎のような感じがします。もう誰の許可を得る事無く、買物したり移動したりできる。自由は素晴らしいな。
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耳下腺腫瘍 術後6日目

12月30日 術後6日目
朝の診察で翌日の退院が決まりました。何とか年内に帰れそうです。同時に傷口の半分を抜糸してもらいました。残りは明日の朝のようです。これまで外傷で幾度となくあちこち縫ってきましたが、今までで一番痛くありませんでした。おそらく傷周辺の麻痺が原因でしょう。これまでシート状の被覆材でシールされていましたが、簡単な紙のテープだけになりました。実のところ、この方が痛みを感じます。

最近では火傷などでこのシールが使われます。傷を湿潤状態に保ち、浸出液下で速やかな新しい皮膚の再生を促す効果があります。湿潤療法と言います。厳密には「消毒しない」という条件があるので、私の場合は違うかもしれません。処置毎にイソジンか何かで消毒されてました。枝葉はともかく、このシールの良いところは痛くないことです。テープや絆創膏のようなものになると乾燥に伴って痛み痒みが必発です。退院したらキズパワーパッドに交換しよう。多分傷痕も目立たなくなる。

年末休みなので処置は若い研修医の先生が一生懸命やってくれます。何が凄いって、やっぱり裸眼で抜糸できること。私はもう老眼鏡か顕微鏡が無いと無理です。全部で17針だったようです。

腫れもだいぶ引いて、耳なんかは厚さが三倍くらいあったのに、少なくとも上の方は倍以下に薄くなりました。腫れが引いてきて初めて気付いたんですが、耳が動かない。まあ、もともと犬のように動くものではありませんが。右側はヒクヒク動かせますが、左は全く駄目です。感覚はともかく他の運動麻痺は無いのでこれくらいは仕方ないかもしれません。
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耳下腺腫瘍 術後5日目

12月29日 術後5日目
今日は雨が降っています。外はきっと凍える寒さでしょう。病室は室温25℃、湿度30%に保たれています。入院していると段々普段の生活を忘れていきそうです。ひどい正月ボケになりそうで心配になってきました。

今日の診察で、傷のテープがとても小さくなりました。自分では見えないのですが、テープかぶれを起こしているようです。痒みは傷が治る経過のせいかと思っていました。テープを最小限にして、赤くなった部分にステロイド軟膏を塗られたためか、痒みはだいぶ楽になりました。相変わらず耳朶や頬の一部は感覚が無いので、痒いんだけど掻いても伝わらないという拷問ですが。

テープ越しに見る縫合部は入院仲間にキレイだと褒められています。傷自慢なんて変な感じ(笑)。みんな暇なんですね。このまま時間と共に回復していくんでしょう。もうあまり特筆すべき経過も出来事もありません。退院までゆっくり過ごすだけだと思います。

入院してくる人は少なく、一人また一人と退院してゆきます。今日退院した若い女性はちょっとしたトラブルメーカーでした。面会者と病棟中が凍りつく痴話喧嘩を起こしたことがあり、退屈な入院生活ではちょっとしたゴシップでした。「あんたが...$%%<..帰ってよ!」ってドラマでも今時無いんじゃないでしょうか。夜には深夜までキャッキャウフフで長電話してましたが。ああせいせいした。
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耳下腺腫瘍 術後4日目

12月28日 術後4日目
朝起きるたびに鏡で傷を確認しますが、シール越しなのでよく分かりません。痒いような疼くような感じは治りかけの証拠でしょうか。暇にまかせて見ていたTVで、韓国の美容整形について放送していました。その中に下顎骨を削るという手術がありました。いわゆるエラです。耳下腺手術を経験して実感しますが、これは結構危険な手術ですね。顔面神経を傷つけたら美容どころの騒ぎでは無いでしょう。

朝の診察で傷口のテープを張り替えてもらいました。昨日の入浴時に濡れてビロビロになっていました。綺麗な透明になったので、傷の様子が良く分かりました。耳の前から首の横へ、結構長いです。しばらくの間は目にした方はギョッとするでしょうね。髪が長ければそれほど気にならないかもしれません。腫れと感覚の無さは変わりません。痛みはありませんが、相変わらず口は大きく開けられません。

もう点滴は無いので、診察が終われば昼飯まで何もありません。勇んで院内のコーヒーチェーン店へ向かいました。しかしエレベーターを降りてみれば真っ暗で人気はありません。そう、今日は日曜日。そして大学病院の今年の通常業務は昨日までで終了していたのです。当然店も来年の診療開始までお休み...。

普段はごった返している外来も今日はしんとしています。誰もいない廊下、電気の消えた外来、シャッターの降りた食堂。この時期に入院している患者さんも少ないようで、本当に静かです。世間では忘年会や大掃除などの年末らしい喧騒の中なのかもしれません。普段からボッチの多い自分ですが、さすがに堪えました。自販機のコーヒーを手に空っぽの駐車場を見ていると、遠くから救急車のサイレンが聞こえてきます。ここではまだ働いているドクターもナースもいます。
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耳下腺腫瘍 術後3日目

12月27日 術後3日目
入院生活にもだいぶ慣れてきました。朝の診察でドレーンを抜きました。最初からあまり血も浸出液も出ず、昨日からはほぼゼロといった感じだったので、無くても差支えないのでしょう。首から下げていたポシェットが無くなって少し寂しいですが、煩わしさが無くなってサッパリです。

こういった処置は多少なりとも痛みを伴うものです。傷口の側ですから障らないわけはありません。でも大抵は「ちょっとチクっとしますよ」の一言でエイっと行われてしまいます。我々はそんなものだと思っていますし、日常の診療の中で痛みの程度を想像する機会が多いためでしょうか、許容できます。しかし普通の患者さんはそうではありません。何をされるか分からない恐怖も相まって痛さ倍増かもしれません。麻酔をすればいいじゃないかと考える方もいるでしょう。しかし麻酔の注射も痛いので、小さな処置では本末転倒になってしまいます。結局のところ、相手の許容度を良く読んで、それを充分理解した対応をするしかないのかもしれません。

夕方には点滴も無くなるので、首から下の入浴許可を頂きました。体重測定がありましたが、なんと2kgも増量です。運動不足もあるでしょうが、点滴にも食事にも糖質タップリなのが原因でしょう。退院時が怖いです。トイレでの痛みも無くなりました。アンパンマンのように腫れていた顔もジャムおじさんくらいになってきました。耳朶の感覚が無いのは相変わらずですが、左頬の感覚は心なしか回復しているようです。厚い布地越しに触ってるような感じです。足が痺れたときのようなジーンとした感覚もあります。

4日ぶりに入るシャワーはとても気持ちが良かったです。創部と点滴の留置部をビニールでカバーするんですが、どうしてもちょっと滲みちゃいますね。夕食後に最後の点滴があり、いよいよ点滴のラインからも解放されました。少しづつ管が減っていき、快方に向かっていることを実感します。グロい見た目さえ気にしなければ、明日からでも働けそうです。アクビして大口開けるとまだ痛むけど。
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耳下腺腫瘍 術後2日目

12月26日 術後2日目
朝起きると検温、朝食、そして診察です。診察といっても張ってあるフィルムの上から観察したり、ちょっと押したりしておしまいです。終わると間も無く点滴が始まります。止血剤と抗生剤と胃薬とこれでもかっと言うくらい次々に入れます。水ぶくれしてしまいそうです。おかげでトイレが近い。点滴を引きずってトイレに行くんですが、バルーンを入れていたせいでとても痛い。しばらくはトイレが恐怖になりました。

傷口は昨日と変わらず、特に痛くもありません。食べる時に大きく開かない以外は不自由も無し。ただベッドで起き上がろうとする時に首が筋肉痛のように痛い。切ってない右側も痛むので、傷とは関係ない感じです。長時間の手術中に不自然な姿勢を取ったのかもしれません。寝違えたかのような感じでしょうか。午後には収まってきました。

年末で面白いTV番組も無く、ネットもろくろく繋がらない。実は身内以外には手術の事を話していないので見舞客もいない。本当に暇なので、この闘病記を書くことにしました。友人に話せなかったのは、顔面神経麻痺の可能性があったことも大きいです。目が閉じなくなったり、口が曲がったりしたら、たぶん誰とも会いたくないでしょう。ほら顔が自慢ですから(冗談です)。良性であれば後で笑って話せば心配かけることもないし、悪性だったら...ちゃんと心の整理がついてから話したいじゃないですか。

院内は暖かいですが非常に乾燥しています。朝干したタオルが昼にはパリパリです。体もカサカサで痒いです。そろそろ風呂が恋しくなってきました。耳朶は相変わらず感覚が無いのですが、不思議と痒みだけありました。しかしいくらかいても痒みは満たされない不思議な感じ。ピアスの穴を空けるならチャンスかも(空けませんが)。
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耳下腺腫瘍 術後1日

12月25日 術後1日
7時前頃に起こされ、オシッコの管(バルーン)を抜いてもらいました。これも微妙な痛みですが、その後初めてトイレに行った時の痛みは半端無かった。おそらく麻酔のゼリーがダラダラ出て、知らないとウミかと思うかもしれません。体を拭いてもらって着替え、やっと動けるようになりました。特にフラつきもありませんでした。

トイレの鏡で見てみると、顔の左半分はアンパンマンのように腫れていました。耳の前から顎下の首にかけて半透明な被覆材でシールされ、耳の後ろからはドレーンチューブが出ています。ドレーンとは体内に挿入されたチューブで、腫瘍をくり抜いた空洞に溜まる血や浸出液を排出するものです。しばらくはそれを溜めておく箱を首からぶら下げて歩くのです。可愛いポーチに入っているんですが、院内をお散歩する時にiPhoneやお財布を入れるのに便利でした。

診察後、約3食ぶりに食事です。納豆ご飯がこれほど美味いとは思いませんでした。その時に口が大きく開かないことに気が付きました。テープで突っ張ってるのと痛みが原因でしょうか。お行儀よく食べる他ありません。物足らなくて売店でアイスを買って食べました。

リカバリールームから戻り、タオルで顔を拭いたり歯を磨いたりしました。この時、左の頰と耳下半分の感覚が全く無いことに気付きました。それまでテープに覆われているからだと思っていましたが、そこは外に露出しています。耳朶をつねっても引っ張っても全く分からないのです。他人の耳朶の様でした。

耳朶に感じる、犬を抱き寄せた時のくすぐったさや、自転車で感じる冷たい風が好きでした。ちょっと残念です。誰もいない病棟の隅っこで口笛を吹いてみましたが、こちらは全然問題ありませんでした。なんとか無事に終わった開放感で、とても幸せなクリスマスでした。
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耳下腺腫瘍 手術

12月24日 手術当日
普段と同じく6時前には目が覚めてしまいます。1年で一番、日が短い頃ですから外は真っ暗です。何もすることが無いので、しばらくボーっと東の空が明るくなるのを眺めていました。この数ヶ月、何をしていても常に気掛かりだった手術の日がついにやってきました。私はこれまで身体にメスを入れた事がありませんでした。眼科とはいえ、かつては日常的に何件も手術してきたのに、自分の時はそれなりに恐怖感があるものです。昨夜零時から絶飲食なので、朝食も昼食も摂れません。OS1という脱水防止の水500mlしか飲めません。ポカリのような甘ったるい味で喉をかき、かえって渇きます。手術は午後12:30頃と言われていました。頃というのは、その前に他の手術が入っていて終わり次第ということです。私の大学ではオンコールと言っていました。なるべく沢山の手術を詰め込むため、一つ一つの手術時間を短めに申告してます。ただでさえ手術は予定外の事件が起こります。よって大抵遅れるものです。

いよいよ13:00頃にお迎えが来て、歩いて手術室に向かいます。最近は取り違えや左右間違いなどの事故防止のためのチェックが厳しいです。入口で前日足にマークした左右を示すマジックを確認したり手首のバンドや名前の自己申告があります。緊張して46歳なのに64歳と答えてしまいました。ベッドに横になり左手に点滴のルートと酸素飽和度を測る装置が付けられ、胸に心電図のシールを貼られ、酸素マスクを装着されます。こうしたことがまるでF1のピットクルーがやるようにキビキビと同時進行するので、考える間もありません。だいたい何をやっているのか手順が理解しながらボンヤリ天井の無影灯を見ていました。
「眠くなるお薬が入りますね」という麻酔科医の声が聞こえたとほぼ同時に意識が遠くなりました。

術直後
実は手術後最初の記憶は帰室後なので、麻酔から覚めてからしばらくはかなり意識が混濁していたようです。ベッドに移されエレベーターに乗ってるはずなのに、どうやって戻ってきたのか覚えていません。ぼやけた視界の中で家族が見えたこと、ドクターの術中迅速病理では良性の多形腺腫であると伝えられた事はしっかり理解していました。時間を尋ねると17:00を過ぎている。4時間近く掛かっていました。当初2〜3時間と聞いていたので、存外手間がかかったのかもしれません。これまた記憶が曖昧なんですが、恐らく顔面神経麻痺の有無を確認するために「い〜」とか「う〜」とか言わされたようです。問題なく出来てホッとしました。
すぐに家族も帰宅し、リカバリールームというナースステーションに近い大部屋に一人になりました。自由になる右手で顔を探りますが様子がよく分かりませんでした。耳から首にかけてテープで頑丈に覆われているようです。痛みはありませんでした。ただ暑かった。風邪をひいて高熱がある時のようです。しばらく吐気もありました。船酔いを堪えるようにもがいている内に収まりました。おそらくうつらうつらとしていたんでしょう。時折聞こえる周囲の物音で刹那覚醒し、時間の推移を知る事が出来ました。夕食のワゴンの音、売店が閉まる放送、消灯時間のチャイム。その後は2時間ごとに来る夜勤のナースの気配だけ。メガネもコンタクトも無いため視界はボヤけ、薄暗がりで、ただ時間が経つのを耐えていました。そうして長いクリスマスイブの夜は明けました。
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耳下腺腫瘍 入院初日

12/23 入院初日
入院して病棟に上がると、なんとなく懐かしい感じがします。私が長く過ごした大学病院と同じ雰囲気がします。ちょっと古い首都圏の大学病院はみんな似たような感じなのかもしれません。疲れた無精ヒゲの若いドクターや、キビキビ立ちまわるナースを見ていて、自分の研修時代を懐かしく思い出しました。いくつかの検査と説明があった後は山のような承諾書にサインです。最近は何をするんでも承諾書が必要です。しかしそれも終わると後はやることがありません。ひたすら暇です。持っていったiPadですが、格安SIMのせいか、環境のせいか、ネットのつながりが悪くて使い物になりません。TVを観ているうちに、いつのまにか寝てしまいました。
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耳下腺腫瘍 治療方針

11月 治療方針
選択の余地がないと言う事は迷う必要が無く、かえって楽でした。こういう場合、取りあえず他に治療方法が無いか右往左往、いや情報収集するのが普通でしょう。商売柄、私はこの手の病気には標準的な治療方針があって、どこにかかっても大きな違いはないと思っていました。幸い自分で専門的な文献をあたることもできました。極めて稀な腫瘍なので、手術件数や成績を参考にすることはあまり意味がありません。自分が信頼できるドクターであればそれで良いと思いました。

ちなみに執刀医のドクターは若くて綺麗な目をした好青年でした。私が大学病院にいた、同じような年の頃より、はるかに熱心で健康的です。 ハッキリした説明も好印象でした。
検査の結果、腫瘍の境界が不鮮明であること、痛みがある事、血流が豊富である事から悪性の可能性があると告げられました。

余談ですが、私も病気の説明をする時にハッキリと言う方です。診察台の向こうに喋っているのは自分ではないかと思いました。ただ私のように情報に恵まれている場合と、全くの素人では受け止め方が違うかもしれません。人によっては気持ちに寄り添いつつ、時間をかけて納得してもらった方がいいと実感しました。

こうして手術の予定が組まれ、準備のために追加の検査をしました。全身麻酔なので、レントゲンや心電図、呼吸機能などです。ちょっと中性脂肪が高かったのはショックでした。

12月 準備
手術には最大10日ほどの入院が必要です。こうなると開業医としては死活問題です。外来に穴が空くのは仕方ないとしても、紹介した手術患者さんの術後管理や、多くはないですが経過の心配な患者さんに対し責任持って対処しないといけません。事情を酌んで御高配頂いた医療センターの先生に、この場を借りて御礼申し上げます。

もし悪性であれば、これまでのように働くのは難しいかもしれない。顔面神経麻痺になれば顔が曲がって子供たちに怖がられてしまうな、とか、転移したら闘いながらどれくらい生きられるかしらと、暗いことをツラツラ考えてしまいました。大好きな釣りをしていても、自転車に乗っていても、いくらお酒を飲んでも、到底拭い去ることのできない不安です。こういう場合、分かっている材料を等しく客観視する事が大切です。しかし悪い材料を怖れて忌避し、良い材料にすがろうとするものです。私もそうでした。しかし最終的には医師目線で自身を客観視することを心掛けるようにしました。その結果、自分も自身の主治医の一人になったような感覚がありました。

病気の診断には絶対はありません。必ず未知の部分があります。医療者として未知の部分を説明しなければならない事は多々あります。しかも、その可能性について余すことなく説明する義務があります。しかしこれが患者さんの未知の部分への怖れを増長してしまいがちです。未知の暗闇に目を凝らしても今はまだ見えないのです。そこに猛獣が潜んでいるのか、ただの影なのか。私たち医療者は怯える患者さんの手を取って見える所まで連れて行かなければなりません。そしてそこまで一緒に来たのなら、もし結果が患者さんの望むものでなくても、決して手を離してはいけないのだと思います。

私は楽天的なので、まあ大丈夫だろうと考えるに至りました。また、病院の都合で予定が1週間遅れ、クリスマスイブの手術予定となりました。結果的に仕事への影響は最小限で済むし、何と言ってもクリスマスイブですから成功するような気がしてきました。
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耳下腺腫瘍 きっかけ〜検査

左耳の下にある唾液腺(耳下腺)に腫瘍が出来て、入院手術を経験しました。その闘病記を残しておくことにします。10万人に数人という比較的稀な疾患で、Blogなどの情報が少ない事に気付いたこと、また専門外ですが医師という視点から書けたら面白いかもしれないと思ったこと、心配おかけした皆様に少しでも説明になればと思ったこと、そして入院中あまりにヒマだったことがその動機です。
キーワードを辿って此処に行き着いた、同じ病気のあなた。その不安を少しでも和らげる助けになれば幸いです。

2014年3月 きっかけ
左の耳の下、ちょうど顎骨の角の裏にシコリがある事に気付きました。弾力のある滑らかな感触で、直径2センチくらい。ちょうど顎関節症を患っていたので、関節のトラブルかと思いました。痛みも無く、邪魔にもならないので放置していました。実は歯科受診の際に精査を勧められたんですが、タイミング合わずそのままになってしまいました。

9月 症状の変化
丁度しこりの周囲が急に腫れてズキズキと痛くなりました。最初は扁桃腺でも腫れたかと思いました。しかし明らかにシコリが痛みの中心で、いつまでたっても改善しませんでした。心なしかシコリ自体も大きくなっています。耐えかねて同じ学校医をされている耳鼻科を受診しました。そこで初めて唾液腺の一つ、耳下腺の腫瘍が疑われると知らされました。

10月 検査
義父が耳鼻科医だったので、そのツテで大学病院を受診し、詳しく調べることになりました。MRI、造影CT、超音波などの画像診断と、シコリに針を刺して中身を吸引する生検を行いました。腫れと痛みは徐々に引き、元のシコリに戻ったようでした。時折、つーんとする感じ、いわゆる疼痛というのはありました。唾液が出るときに痛むとか、食べ物によってとか、全く関係ありません。唐突に始まって小一時間程で収まってゆく感じです。外見的は触診の際にはドクターでも探しにくく、「ホラここですここです。」と伝えないと帰されちゃいそうなほど無症状。

11月 検査結果
検査の結果が出ました。「耳下腺腫瘍」で間違いないようです。ただ耳下腺腫瘍には良性と悪性があります。良性のものも一部は悪性に変化します。悪性とはつまりそこで破壊的な増大をきたしたり、転移して命に関わるという事です。また良性のままでも、ゆくゆくは大きくなって近くを通る顔面神経に影響が及び、麻痺を起こすことがあります。どっちにしても薬などで小さくしたりすることは出来ないので、手術で取るしかないのです。同時に確定診断は取ってみないと分からないのです。もちろん大きくなるにしろ、悪性化するにしろ、転移するにしろ、今すぐという訳ではありません。ただこの半年の変化を考えると、年単位で放置という選択肢は無いようです。
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