2020年09月15日

顕微鏡の故障

暑かった夏もどうやら終わり、朝晩は過ごしやすくなってきましたね。新型コロナウイルスのせいで、何も無いまま夏が過ぎて行ってしまいます。

先日、診察で使う顕微鏡(細隙灯)が壊れてしまいました。目を診るために光を当てる眩しいやつです。幸い顕微鏡本体ではなく、台の方の不具合のようです。連休明けには復活しそうですが、それまで借りてきた古い顕微鏡を使います。この手前の黒い顕微鏡です

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これはハーグストレイト社製のゴールドマン型と言って、眼科では広く普及しているタイプです。基本設計はきっと何十年も変わっていません。奥の私が使っているZeiss社製とともに、ほぼ市場を独占しています。皆さんも眼科受診の際に、どこかでこの機械に触れていると思います。

もちろん私も使った経験がありましたが、実はこのゴールドマン型はあまり好きではありません。研修医の頃から開業に至るまでの長い修行期間、毎日のようにずっと使ってきたにもかかわらず、です。

視軸が並行で無いせいか、どういうわけか、見え方が何とも不自然です。立体感がなくて奥行きが掴みにくい。ステレオバリエーターをかませば改善するらしいのですが、大学病院の古い診察室にはそんなものはありませんでした。また倍率も二段階しか選択できず、強拡大では小さ過ぎ、弱拡大では大き過ぎ。しかもディフューザーが無いので瞼の皮膚の観察は眩し過ぎて出来ません。

これだけの長い歴史のある顕微鏡ですから実用には十分で、決してダメだと言っているわけではありません。使いこなせば私より遥かに的確に診断できるでしょう。指導医がそうでしたが、ちょっと熟練する必要があります。要は相性の問題です。

もう一つのタイプはZeissですが、これはカメラレンズに詳しい人ならご存知ですね。昔から凄い光学機器を作ってきた老舗メーカーです。大学病院には診察室に1台、病棟に1台ありました。ほぼ教授専用でしたが、夜中に使う分には問題ありません。入院した網膜剥離の患者さんが夕食を終え、病棟が消灯するまでの短い間によく使ったものです。いつかはこれを自分の好きなように使いたいと思っていました。

そんな時に卸の業者さんが、中古の出物のZeissがあると教えてくれました。倉庫に見に行くと、状態はよく、それほど古くありません。経緯は不明ですが、手放した人がちょっと気の毒なくらいでした。その頃は医局から郊外の病院に派遣されていましたので、その病院に交渉して顕微鏡を買ってもらうというのが普通の考え方です。中古とはいえ、そんなに安い買物ではありません。

しかし私はこれを個人で購入しました。それまでは明確に開業を意識していませんでした。しかし、この顕微鏡をみた時に、いつか開業した時に使いたいと思ったのです。そして倉庫で長く眠った後に、本当にその日が来ました。もう14年近く前になります。
posted by kawagucci at 14:58| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする