2015年06月09日

夏を前に

 ちょっとサボっているうちに、今年も半分が過ぎようとしております。どういうわけかこの春は忙しく、何も書けませんでした。5月は暑かったですね。記憶にある限り、毎日のように夏日が続くなんて初めてのように思います。

 この暑さのせいか、外来ではちょっと異変がありました。どうみてもハウスダストのアレルギー性結膜炎のような方が多かった。屋内で過ごす夕方から翌朝に症状がある、鼻の症状があるなど、特徴的でした。ハウスダストの主な原因はダニですが、温度が25度以上、湿度60%以上の条件で繁殖します。そのため、例年なら梅雨頃がピークです。少し早いですね。

 ハウスダストはアトピーなどにも関わる抗原です。梅雨頃と秋雨の頃にアレルギー症状が出る場合は、寝具の洗濯や掃除に気を付けた方がいいでしょう。

 やっかいなことに、他の結膜炎も同時に増えてしまい、鑑別に苦労しました。特に流行性角結膜炎、通称はやり目です。4月頃に東京の他の地域で流行がみられたとの報告がありました。こちらでは聞いていませんでしたが、どうも5月頃からチラホラ出ているようです。近隣の眼科からも情報を頂きました。

 充血や目ヤニといった症状は共通するので、ぱっと見で判断は難しいです。ただはやり目の場合、片目だけで発症することが普通です。数日から1週間の潜伏期があるので、片目(多くは利き手)から反対目に時間をおいてうつります。あとからなった方は軽いです。アレルギーでも左右差はありますが、ここまでハッキリしないことが多いです。

 もう間もなくプール開きです。水回りで目ヤニを介して広がるので、感染拡大が心配です。感染したら登校登園できません。外来の子供用テーブルのオモチャと絵本を一時的に引き上げました。院内感染予防のためです。ご了承ください。

 明後日から当院でもOCTを導入します。Optical coherence tomography (OCT) といって、光干渉断層法を用いた眼底の検査装置です。こんな風に書いてもさっぱりですね。実は私も完全に原理を理解していません。簡単に言うと、眼底、特に網膜などの精密な断層画像を得る装置です。目のCTと説明してます。放射線は使ってないので全然違うものですが、分かりやすくするためです。もちろん被曝などはありません。

 網膜は10層の極めて薄い膜ですが、これが地層をみるように見事に映し出されます。実は大学病院時代に触っていたのですが、当時と比べて段違いの解像度です。網膜を平面的に観察するのと比べると、はるかに情報量が多いです。どこがどの程度、腫れているのか。どこから出血しているのか。これまで腫れ方などで類推していた病態が、ありありと描写されるので驚くを通り越して呆れました。

 また網膜の厚さを計測することができます。これは主に緑内障の経過観察では強力な武器になるでしょう。従来、視野検査にて経過を観察してきました。これからも基本は視野の欠け方や程度は大事な診断材料です。しかし、視野はどうしても見えるか見えないか、です。しばしば被験者の体調やちょっとした他の目の具合に左右されます。時間もかかるので、疲れたり眠くなったりします。高齢者、子供、そしてかなり進行した方などは難しいこともあります。

 緑内障になると、神経が萎縮して、そのぶん網膜の一部が痩せてきます。その厚さを観察すれば、どの部位がどのくらいダメージがあるかよく分かります。また、半年後、1年後と比べれば、厚さ何ミクロンと数字で把握できるので経過の良し悪しは明らかです。主観の入る余地はありません。

 当院のような小さなクリニックで導入するのは悩ましいところでしたが、思い切って導入しました。より説得力のある診療ができると期待しています。

 これから梅雨本番ですね。また今年も暑くなるのでしょうか。

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posted by kawagucci at 15:11| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする