2017年11月24日

潤いのない話

 駆け足で秋が過ぎ、一気に冬になったようです。10月、11月は台風などで荒天が多く、秋らしい日がほとんど無いまま終わってしまいました。個人的には一番いい季節に釣りに出られず、とても悔しいです。

 これから寒くなってくるとともに、関東では非常に乾燥します。何もかもパリパリです。皮膚も粉を吹いて非常に痒い。痒いとさらに掻いてしまって余計に痒い。保湿が必要ですね。

 保湿剤としてよく使われるヒルドイドが先月だいぶ話題になったようです。どこかの女性向け雑誌に美容に良いと紹介されたようです。問題はヒルドイドが保険適応の処方薬であることで、本来適応とならない美容目的での処方希望が多く問題視されました。皮膚科や形成外科でヒルドイド欲しいと言う方がたくさん来院されたそうです。

 本当に皮膚の乾燥から必要としている人も中にはいたかもしれませんが、ほとんどが美容目的でしょう。もちろん美容目的では保険を使って処方を受けることはできません。販売元も、本来の目的と違う処方はしないでほしいと注意喚起しています。

 私のところにもいくつか相談がありました。目尻の小ジワ(いわゆるカラスの足)や瞼のタルミには効くのかなど。もちろんそんな効果効能はありません。ちょっと心配なのは以下のような注意書きがあることです。

「注意 目、粘膜、傷口には使用しないこと。」

 おそらく刺激が強いのだと思います。製品として保湿剤の多くには乳化剤とか界面活性剤が使われます。互いに混じり合いにくい水と油を混ぜ合わせるためです。これは皮膚の脂も落としてしまうので、脆弱な部分には使いにくいと言うことでしょう。普通のところであれば、脂を多少落としても製品の保湿成分で補えるのかもしれません。

 目の周りは皮膚が薄いです。他の部位と同じようにガンガン脂を落としたら、かえって乾燥が進んでしまいます。しかもすぐ近くは目の中、つまり粘膜です。ここに入ったらすぐに赤剥けになってしまいます。つまり目の周りには使いにくい保湿剤ということです。

 目の周囲の乾燥と痒みによって擦るのが止まらない、という状況はよくあります。擦ることによって表面が痛むため、さらに痒みが増します。表面は防水膜のようになっていて、傷んでしまうと水分が入り放題、出放題になってしまいます。濡れても乾いても刺激になります。そのため洗顔しても入浴しても汗かいても痒くなってしまいます。

 このように外の皮膚を擦っていると、やがて中の粘膜も傷んできて、さらに痒みが増してという悪循環に陥ります。掻くな、と言っても我慢できるものではありません。点眼薬などで炎症を抑えられるのは中の粘膜だけなので、外の皮膚もなんとかしなくてはなりません。

 そこで保湿剤なんですが、くだんのヒルドイドは使いにくいのでワセリンなどを処方することが多いです。白色ワセリン、またはプロペトなどです。

 これは界面活性剤などを含みません。脂を落とすことなく、己の油で覆うだけです。少々、目に入っても問題ありません。処方箋など必要とせず普通に薬局で購入できる上、極めて安価です。あえて欠点を探すとテカテカしてカッコ悪いことでしょうか。寝る前だったら気にせず使えますが、これから出かける朝にはちょっと恥ずかしいでしょうか。ティッシュなどで余分を拭き取ることもできますが、その際は横に擦らず押さえるようにしたほうがいいです。

 目だけの話では無いんですが、皆さん清潔好きなのか洗いすぎでは無いでしょうか。お子さんや高齢の方で、そんなに脂も出てないのに石鹸などでガンガン洗っちゃえば流石に乾燥します。痒いときはお湯だけで十分だと思います。私のようなオッサンはちょっと気をつけたほうがいいですが...。

 あっという間に秋も深まり、木々も色づいてきました。あれだけ生命感あふれた世の中もひっそりしています。虫たちも落ち葉の下や木の皮の裏に隠れてしまいました。虫たちにとって冬が厳しいのは、寒さよりも乾燥なんだそうです。なんとかこの乾燥を乗り越えて、春をまた迎えられるといいです。

IMG_4737.JPG
posted by kawagucci at 12:18| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする