2018年04月03日

10周年

 今年も桜が咲きましたね。例年より少し早かったです。冬の寒さが厳しい年でしたので、待ち遠しかったです。

 柿の木坂では呑川の支流に沿って東西南北に桜並木があるので、特別にお出かけしなくても十分楽しめます。

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 今年の春はクリニックにとっても特別な年です。ちょうど10年前の今日、4月3日に当院はここ柿の木坂に開院しました。私の世間知らずや未熟ゆえに、当初は失敗ばかりでした。曲がりなりにも10年続けられたのは、温かく見守って頂いた地域の皆様、医療センターや大学の先生方、スタッフそして家族のおかげだと思います。本当に感謝いたします。

 10年の間にリーマンショックや、あの震災など色々な事がありました。景気も悪かった。将来に対する不安は増すばかりでした。少子高齢化、医療費増大、人手不足などなど考えていたらキリがありません。きっとこれからの10年も日々悩みながら地道にやっていくしかないのでしょう。

 私自身も年をとりました。気がつけば五十路もすぐ目の前です。病気もしたし、老眼も進みました。医学、眼科の臨床領域でもどんどん新しい事が出てきて、古いものが否定されて行きます。それについていくのも以前より大変です。生涯学習と健康維持が何より大事であると痛感する今日この頃です。

 続けていく上で、ストレスコントロールは大事だなと思います。忖度とか人間関係など苦手な分野からの解放、無理しないこと、筋トレ、時々海に行くこと、怒らないこと。これは10年の川の流れで角が取れたのか、単なる老化かわかりませんが。

 さて次の10年はどうなるでしょうか。

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2018年02月27日

舌の下

 今年は寒さがこたえますね。朝は氷点下、昼も10度に届かない日が続きました。これほど寒い冬は久しぶりかもしれません。しかし2月もまもなく終わります。寒さも底を打ったように感じます。これからは少しづつ暖かくなりそうです。

 暖かくなると気になるのが花粉症です。眼科では年に一度、一番混雑する時期です。花粉症の人も辛いと思いますが、私も辛いです。毎年のように点眼薬を使う方は、ぜひ早めに取りに来て頂けると幸いです。以前もお伝えしましたが、早めに使う事で重症化を避けることができます。掻きこじって腫らしてしまってからでは大変です...。

 最近では耳鼻科などで花粉症に対する舌下免疫療法をしている方もいるようですね。スギなどの抗原を原料とした治療薬を、口の中、舌の下に入れる療法です。少量のスギ抗原を少しずつ体内に取り入れる事で、アレルギー反応を出にくくするよう慣らしていく療法です。

 以前は注射でした。治療期間が何年にもわたる方法なので、続けることが難しかったようです。痛いですし、毎回クリニックに出向かなくてはなりません。これを舌の下に入れるだけにとなったので、格段にハードルが下がりました。

 治療の結果、花粉から完全に解放される人は2〜3割、症状の緩和が7割と行ったところだそうです。期間やコストを考えると微妙な成績ですね。さらなる成績の向上に期待しましょう。

 この治療にはいくつか禁忌があって、眼科的に気をつけるべきものもあります。例えばβブロッカー(阻害薬)という薬との併用はできません。一般的には高血圧の薬として有名です。

 他にも緑内障の点眼薬としても使われています。現在はもっといい点眼薬があるので、最近では補助的に使われることが多いですが、それでもまだ多くの緑内障患者さんが使われています。具体的にはチモプトールやミケランと行った点眼薬です。最近ではこれを含んだ合剤などもあるので、10種類くらいはあるんではないでしょうか。

 βブロッカーは、アレルギーの重症化させてアナフィラキシーという激しい症状を起こすことがあります。場合によってはショックを起こして死亡することもあります。また、そんなショック時に救命で使われるアドレナリンなどの作用を弱めてしまう可能性もあります。たかが点眼と思われるかもしれませんが、やはり危険です。

 舌下免疫療法を行う施設は限られており、そのような情報は治療開始前に確認されていると思います。しかし途中から緑内障と診断されて点眼が出たり、後から追加されたりした場合、気づかず使用してしまうかもしれません。何か新しい治療を始める場合はひと言、相談してください。

 今週の木曜日には春一番だそうです。これまで低温と降雪でおとなしくしていた花粉も風に乗っていよいよ飛んで来ます。梅が咲いたら点眼を始めましょう。杉の花粉症は桜が咲く頃までです。

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2018年01月12日

枝葉をカット

 いつの間にか年が改まって松の内さえ過ぎてしまいました。遅れましたが、新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 年末はプール熱に振り回されているうちに終わってしまった感じです。それほど酷い2017年でした。

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 このグラフのように春頃から例年通り増えてきて、夏以降は例年を上回るペースだった事がわかります。そして一旦秋頃に収束したかのように見えながら、年末にかけて増加しました。感覚的にもこの通りだと思います。

 過去20年くらいの流行状況を調べてみましたが、今年ほど多かった年は無いようです。年が明けて本当に減ってきているようで、一安心です。免疫ができたお子さんが増えて、来年以降は落ち着くんでしょうか。

 この時期は風邪や鼻の不調に伴って、細菌性の結膜炎はまだ多いです。しかしプール熱のように症状は重くないですし、野火のように広がることもありません。なかなか区別は難しいですが...。

 そんなこんなでやっと休みに入ったので、年末年始は荒れ放題になっていた実家の庭仕事をしました。10年近く伸び放題だった庭木を切り、始末するのは重労働です。しかし、この時期を逃すと葉が出てまたできなくなってしまいます。

 すっと上を向いて高枝切りを操作するのは首が痛くなって辛いものですね。翌日はずっと下を向いて反省していました。

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 画像はAmazonのですが、我が家の高枝切りもこんな形です。手元で操作すると先端のハサミが遥か頭上でチョキチョキと切ってくれる仕組み。これ、何かに似ているとずっと思っていました。

 実は硝子体手術で使うハサミ(硝子体剪刀)にそっくりなんです。もっとも大きさは長さが15cmほど、先端のハサミは数ミリですが。こんな道具を目の中に入れて操作するんです。

 適応は網膜や硝子体といった目の奥、眼底疾患です。特に活躍するのは増殖硝子体網膜症などの難かしい病気に対してです。以前はとても大変でした。

 糖尿病などで眼底出血を繰り返したり、網膜剥離の再発を繰り返したりすると、増殖膜というベタベタしたカサブタのようなものが目の中に張り出してきます。膜状だったり、ヒモ状だったり様々です。これの厄介なところは、縮んで引き吊れたり硬く固着してしまうところです。引っ張られた網膜は破けて新たな網膜剥離(牽引性網膜剥離)を起こして、ますます難しい状態になってしまいます。

 もちろんこの増殖膜を除去しなきゃいけないんですが、そこで活躍するのが硝子体剪刀です。バリバリにこびりついた膜を丁寧にチマチマと切り、そっと外していきます。もちろん網膜は切らないようにしないといけませんから、最新の注意が必要です。わずか直径2cmちょっとの眼球に挿入した刃先を数ミクロン単位で操作するのです。

 私が現場にいた10年以上前と比べ、今ではだいぶ成績も良いようです。一つには器具の進化です。当時の硝子体剪刀の直径は0.8mmくらい。今はその半分ほどです。格段に目に与えるダメージも少ないでしょう。あとは当時より症状の重い人が減ったということもあるかもしれません。ひとえに糖尿病の管理が良くなったり、最初の網膜剥離の手術がうまく行くようになったりなどでしょうか。

 もう私はあんな手術をすることは二度と無いと思います。でも高い所でいかに効率よく刃先を回して枝を切るか、つい一生懸命になってしまいました。

初詣に行ってきました。おみくじは末吉、ちょうど良いくらいです。
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2017年11月24日

潤いのない話

 駆け足で秋が過ぎ、一気に冬になったようです。10月、11月は台風などで荒天が多く、秋らしい日がほとんど無いまま終わってしまいました。個人的には一番いい季節に釣りに出られず、とても悔しいです。

 これから寒くなってくるとともに、関東では非常に乾燥します。何もかもパリパリです。皮膚も粉を吹いて非常に痒い。痒いとさらに掻いてしまって余計に痒い。保湿が必要ですね。

 保湿剤としてよく使われるヒルドイドが先月だいぶ話題になったようです。どこかの女性向け雑誌に美容に良いと紹介されたようです。問題はヒルドイドが保険適応の処方薬であることで、本来適応とならない美容目的での処方希望が多く問題視されました。皮膚科や形成外科でヒルドイド欲しいと言う方がたくさん来院されたそうです。

 本当に皮膚の乾燥から必要としている人も中にはいたかもしれませんが、ほとんどが美容目的でしょう。もちろん美容目的では保険を使って処方を受けることはできません。販売元も、本来の目的と違う処方はしないでほしいと注意喚起しています。

 私のところにもいくつか相談がありました。目尻の小ジワ(いわゆるカラスの足)や瞼のタルミには効くのかなど。もちろんそんな効果効能はありません。ちょっと心配なのは以下のような注意書きがあることです。

「注意 目、粘膜、傷口には使用しないこと。」

 おそらく刺激が強いのだと思います。製品として保湿剤の多くには乳化剤とか界面活性剤が使われます。互いに混じり合いにくい水と油を混ぜ合わせるためです。これは皮膚の脂も落としてしまうので、脆弱な部分には使いにくいと言うことでしょう。普通のところであれば、脂を多少落としても製品の保湿成分で補えるのかもしれません。

 目の周りは皮膚が薄いです。他の部位と同じようにガンガン脂を落としたら、かえって乾燥が進んでしまいます。しかもすぐ近くは目の中、つまり粘膜です。ここに入ったらすぐに赤剥けになってしまいます。つまり目の周りには使いにくい保湿剤ということです。

 目の周囲の乾燥と痒みによって擦るのが止まらない、という状況はよくあります。擦ることによって表面が痛むため、さらに痒みが増します。表面は防水膜のようになっていて、傷んでしまうと水分が入り放題、出放題になってしまいます。濡れても乾いても刺激になります。そのため洗顔しても入浴しても汗かいても痒くなってしまいます。

 このように外の皮膚を擦っていると、やがて中の粘膜も傷んできて、さらに痒みが増してという悪循環に陥ります。掻くな、と言っても我慢できるものではありません。点眼薬などで炎症を抑えられるのは中の粘膜だけなので、外の皮膚もなんとかしなくてはなりません。

 そこで保湿剤なんですが、くだんのヒルドイドは使いにくいのでワセリンなどを処方することが多いです。白色ワセリン、またはプロペトなどです。

 これは界面活性剤などを含みません。脂を落とすことなく、己の油で覆うだけです。少々、目に入っても問題ありません。処方箋など必要とせず普通に薬局で購入できる上、極めて安価です。あえて欠点を探すとテカテカしてカッコ悪いことでしょうか。寝る前だったら気にせず使えますが、これから出かける朝にはちょっと恥ずかしいでしょうか。ティッシュなどで余分を拭き取ることもできますが、その際は横に擦らず押さえるようにしたほうがいいです。

 目だけの話では無いんですが、皆さん清潔好きなのか洗いすぎでは無いでしょうか。お子さんや高齢の方で、そんなに脂も出てないのに石鹸などでガンガン洗っちゃえば流石に乾燥します。痒いときはお湯だけで十分だと思います。私のようなオッサンはちょっと気をつけたほうがいいですが...。

 あっという間に秋も深まり、木々も色づいてきました。あれだけ生命感あふれた世の中もひっそりしています。虫たちも落ち葉の下や木の皮の裏に隠れてしまいました。虫たちにとって冬が厳しいのは、寒さよりも乾燥なんだそうです。なんとかこの乾燥を乗り越えて、春をまた迎えられるといいです。

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2017年10月23日

台風による臨時休診

10月23日月曜日は台風のため臨時休診します。

非常に強い台風が未明に上陸しました。午前中は交通機関が混乱することが予想され、すでに東横線などいくつかの路線でダイヤが乱れ始めているようです。職員の通勤も難しく、少なくとも午前中は休診としました。

午後に関しては台風通過して問題ないようなら診療予定です。

大荒れの天気ですが、これまで雨続きだった天気も、騒々しかった選挙も、モヤモヤしてたボクシングも台風一過でスッキリ解決しそうですね。

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2017年08月31日

イワシの頭

 今日で8月もおしまいです。あまり夏らしい日がないままに夏休みも終わってしまいました。かんかん照りも辛いのですから、過ごしやすかったとも言えます。でもやっぱり面白くないですね。

 精神年齢が低いからか、夏は好きです。素足で海に入れたり、屋外プールがあったり、果物が美味しかったり。そしてなにより生命感に満ち溢れるところが一番好きです。

 以前、ここでブルーベリーは目にいいか?という質問に対し、そのうち書くといってそのままになっていました。実は外来では聞かれるたびにブルーベリー伝説とその起源について説明していました。それがネットの記事としてそのまま流れて着たので紹介させてください。

「ブルーベリーが目に効く」は第二次世界大戦中にイギリス軍が流したデマが元だった - http://mitok.info/?p=98814

 様々なサプリメントを積極的に試してみた時期もあったのですが、今は全く摂取していません。何かしら老化に伴ってまた摂るかもしれませんが、今のところ効果を実感できるほどでもないというのが正直な感想です。

 我が家の食卓にも出てきました。ヨーグルトに入れると美味しいですね。好きなら構いませんが、積極的に摂るほどのものではないと思いますよ。

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posted by kawagucci at 15:59| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月14日

水は巡る

 連日暑いです。温度も湿度も高いので、ぐったりしてしまいます。空調の効いた院内にこもりきりで、喉を痛めてしまいました。外も地獄、中も地獄です。

 一雨降ればとも思いますが、先日の九州の豪雨による災害を見ると、そう呑気なことも言えません。この度の災害に対し、心よりお見舞い申しあげます。

 数多の災害における現場を見るにつれ、水の力というものはかくも強いものかと思います。山も橋も家もみんな流してしまいます。その速さ、圧力、あらゆるところに浸透し溶解する力。

 この惑星が水の惑星である以上、水による災害は避けようがないのかもしれません。常温で液体の水があるからこそ、我々が存在するのも確かなんですが。

 よく知られているように、我々の体の大部分が水です。それは食べ物や飲み物から吸収され、体内の隅々に行き渡り、やがて排泄や蒸散されていきます。何かを溶かしたり、運んだり、冷やしたり温めたり、その融通性のある化学的性質ゆえに、あまねく利用されています。我々は水なしでは数日も生きられません。

 体内を巡る水分も一箇所に留まることはなく、血管から組織に、細胞から細胞に絶えず移動しています。今ある水は長い時間の一瞬だけ、ある平衡を保って自分の体の一部となります。この汗はいつか氷河の一部であったとか、この海の一滴はかつて自分の一部であったとか考えてしまいます。

 眼球も水分豊富な場所です。特に内側はたっぷり水分があります。小さな水風船のようなものです。黒目の部分は目の壁を作る一部ですが、透明な部分だけに、ちょっと厄介な問題があります。

 角膜の細胞は、隣接する白目(強膜)の細胞と何ら変わりはありません。かたや透明、かたや白いと色は違いますが、これは細胞の並び方に違いがあるためです。角膜の細胞は蜂の巣のように六角形に綺麗に整列することによって光を通し、透明であるのです。逆に、この整列が乱れると光が透過しなくなり、濁ってしまうのです。

 水の豊富な内部を抱え、角膜の細胞は放っておけば水が染み込んできて膨れてしまいます。すなわち形が崩れて濁ってしまう。そうならないように内側一層の細胞に水を汲み出すポンプを備えています。入ってくるだけ掻き出しているんです。これを角膜内皮細胞と言います。

 これはとても貴重な細胞です。なぜなら損なわれると、二度と増えないためです。生きていれば様々な障害によって細胞は減っていきます。多くの細胞は増える力を持った母親のような細胞によって再生していきます。しかしこの内皮細胞は増えません。足らなくなった部分は己の大きさを大きくして、パズルを合わせるように埋めていきます。

 ある一定以上、角膜内皮細胞が減ると、水の汲み出し機能が追いつかなくなって角膜が濁ります。そうなると現状では角膜移植をするしか治療方法はありません。将来的にはiPS細胞で作れるかもしれません。

 角膜内皮細胞が減る原因は様々ですが、外傷や炎症、手術などの直接的なダメージ、そしてコンタクトレンズなどです。特にコンタクトは自覚がないまま、ゆっくりと細胞を減らしてゆきます。

 角膜は透明であるがゆえに血管を持ちません。血管を持たないということは酸素や栄養を受け取りにくい。そのため、涙から多くの酸素や栄養分を供給されています。コンタクトの長期装用やドライアイ、アレルギー下の装用など、不適切な使用によって十分な酸素が供給されないと、内皮細胞は徐々に数を減らしてゆきます。

 学生の頃から30年くらいコンタクトをしていて、度々トラブルがあったなどという方は要注意です。歳をとって、白内障などの手術をする際に角膜内皮細胞が足りないことを指摘されるかもしれません。手術操作は内皮細胞数を減らすことは明白なので、ある一定以上の数を満たさないと手術はできません。

 手術したことによってかえって濁ってしまうという悲劇は、以前は度々ありました。今はほとんど角膜内皮細胞の数を数えてから手術をします。かなり少なくても安全に手術する方法も無いことはありません。それでもやはり、内皮細胞の数を減らすようなことは避けたほうがいいでしょう。

 コンタクトのトラブルは喉元過ぎてしまうと忘れてしまいますが、そのダメージは確実に蓄積していきます。多くはその背景に問題があります。PC作業などの仕事で乾きやすい。禁止が強過ぎてメガネでは見にくい。職業上、メガネでは難しい。夜勤があって長時間の装用になる。そんな声を外来で聞くたびに、将来が心配になります。

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 クリニックのマンションの管理人さんが苦労してお世話してた花が咲きました。誰かが花芽を折ってしまったようですが、水をあげて立派に咲きました。もうすぐ梅雨明けですね。
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2017年06月16日

梅雨空

 ご無沙汰しております。前回の投稿から半年くらい経ってしまいました。言い訳としては忙しかった、または億劫だった、あたりでしょうか。

 一般的に眼科は3月の花粉症の頃から、6月の学校検診のあたりまでが一番混雑します。普段、あまり忙しくない当院でも曜日によっては無駄に広い待合が埋まってしまいます。

 加えて今年はプール熱(咽頭結膜熱)が流行したという事情もあったかもしれません。花粉症の時期に流行すると、両者の区別がつかず、苦労します。

 そんなことも分からんヤブ医者かと叱られそうですが、実際かなりの率で誤診するという報告もあります...。一つには目やにの性状が似ているということですかね。ありふれた結膜炎(細菌が原因)の目やにが鼻くそ風なのに対し、アレルギーやプール熱などのウィルス感染は両者とも水っぽいんです。そのため潤んだような充血になります。

 よく涙っぽいと訴えられますが、それ涙じゃなくて目やになんです。固まると睫毛が糊付けしたみたいになりますよ。

 アレルギーとプール熱、一番見分けやすいのはどこかというと、症状がある目です。アレルギーは左右差があっても両眼に同時に起こることが多い。それに対し伝染病であるプール熱は片目(多くは利き手側)から反対目にうつるタイムラグがあります。これを潜伏期と言います。

 ウィルスもある程度、頭数を増やさないと攻め込めないのです。そのため目から目へ、人から人にうつるのに数日か1週間くらい間が空きます。

 教科書的にはプール熱は喉痛や発熱を伴うんですが、アレルギーでも同じような症状が出ることがあったり、そもそもそのような全身症状が欠けていたりするので参考になりません。専門的には出血斑などの他の所見も参考にします。

 実はプール熱などの原因ウィルスを検出するキットは存在します。しかしあまり決定的ではないため出番は少ないです。一番確実なのは目やにを染色して顕微鏡で見ることなんですが、花粉症の時期の外来でそんな悠長なことはやっていられないことが多いです。

 もともと診察が遅いのもあって、土曜日の待合室は子供で混雑します。じっとしてない子供たちが彼方此方と触りまくり、じゃれあっています。もしその中に一人、プール熱が混じっていれば他の子供にうつってしまいます。目やにの方を一部の席に隔離してご案内させて頂いてますが、症状の多寡や人数によっては完全を期すことは難しいです。

 一番、現実的なのは素早く診断して早く帰してあげる事かもしれません。難しいところです。

 学校で視力検査、眼科検診(プール前の検査)で異常を指摘された小学生、中学生もこの時期に外来にやってきます。新学期早々にどの学校でも検診をする都合上、同じ時期に集中するのは仕方ないです。

 それもそろそろ落ち着いて、また静かな外来に戻りつつあります。

 この時期に人手を増やして診療を円滑にできないか模索してみました。しかし都合よく3ヶ月だけ働いてくれるような方はいないでしょう。そもそもずっと求人を出していますが、なかなか見つからないのが現状です。景気がいいからか、少子高齢化によるものなのか、政治に疎い私には分かりません。

 今のところ、17時以降まで働いてくれるパートさんは見つかりませんでした。多分、当面そのような状態が続くと思います。どうしても一部検査や診療を制限したり、時間によって出来ない場合が生じてしまいます。ご迷惑をおかけしますが、どうぞご容赦ください。お電話でお問い合わせ頂ければ、その時点での現状をご説明いたします。

 激しい雷雨の後には涼しさと虹が。いつも太陽の反対側を探してしまいます。
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2017年01月10日

温故知新

 遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。もう松の内でもありませんが...。

 9月から更新をサボっていたので、この程度の遅れは知らんぷりすることにしました。特別忙しかったわけでもなく、ただたんにネタがないというところです。昨今、医療ネタはネットのせいか洪水のように溢れており、私が思いつくようなネタは既に誰かに取り上げられています。重複して投稿したっていいんですが、二番煎じのようで嫌でした。

 ただ、話題になったウェルクのように、ネットの情報は玉石混合です(むしろ石ばっかり?)。間違った情報は積極的に叩くべきでしょうね。時々恐ろしいものを点眼したり、危ないマッサージをされている方を診ます。

 年末年始は帰省して久しぶりに家族と会うという方も多いでしょう。そこで家族の病気を初めて知り、驚くことも多いと思います。良かれと思って、調べたり聞いたりした治療法を伝える。それが正しいのなら何の問題もないのですが、トンデモ療法だった場合は大変です。断りにくいですしね。

 年末年始の外来には、そんな患者さんが多いです。症状の重さにびっくりした家族が取り敢えず連れてきたものの、病歴も病状も把握していない。しかし他院でちゃんと標準的な医療を施されている。それでも残念ながら症状が好転せず、無理のない範囲で様子を見ている場合などもあります。本人は納得していても家族が知らされていないと、少し面倒なことになります。誰にも悪意がないので難しいところです。

 トンデモ療法がつけ入るのはそんな場面かもしれません。根底にあるのは我々に対する不安、不信感なんだと思います。本人も家族も普段から情報を共有していればいいのでしょうが、なかなか難しい。心配かけないように黙っている方も多いでしょう。マメな連絡が一番何ですが...。何だか振り込め詐欺の予防みたいですね。

 親や親類のことを知ることは、自分を知ることになります。緑内障など遺伝的な病気は多いです。なかなか診断がつかない稀な病気の中でも、遺伝的な病気は多いです。そんなわずかな情報で診断がつくことも珍しくありません。食生活など生活習慣も似ていることが多く、病気の傾向を知ることで予防につながります。彼らは自分の30年先を生きている教科書です。

 親世代は古い情報に偏っていることが多く、新しい(良い情報ばかりではありませんが)医療、社会保障などの情報を、若い世代から逆に教わることも少なくないと思います。悲しいかな、これだけ情報の新陳代謝の激しい世の中では、以前と違って古い知識が生かされる機会はますます減って行くでしょう。

 10年近くこの地で細々とやってきて、家族単位で見させて頂いている方もいらっしゃいます。眼科という小さな枠の中で家族の姿を見て、そんなことを感じる新年です。

 この10年、毎年初詣で参拝する神社では、これまで大吉続きでしたが...このところの怠慢が祟って小吉でした。今年こそ精進いたしますので、色々ご容赦ください。

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2016年09月15日

渓谷のシャワー

 いつの間にか夏が終わってしまいました。ほっとしてる方も多いと思います。私は日が短くなり、空が高くなってくると寂しくて仕方ありません。

 このところ台風と秋雨前線で、お天気が良くないですね。季節の変わり目には必ず雨が降り、海が荒れます。そんなわけで、大好きな釣りにも行けていません。休日をぼうっと過ごすのは好きではありませんので、友人のレジャーに付き合うことにしました。

 キャニオリングと言って、山奥の渓谷で遊ぶアクティビティーです。滝に飛び込んだり、急流を体一つで流れ下ったり、ロープで谷を渡ったりスリル満点です。アドレナリン大好きな欧米人には以前から人気のようです。近年、日本でも盛んになってきたようです。

 あいにくの天気で時折雨がパラついていましたが、もとより濡れる遊びなので気になりませんでした。長年、急流に削られた上流域の岩の造形は美しく壮大です。話し声もかき消す水の力には畏怖を禁じえません。重装備で歩いていると息が上がりますが、冷たい渓谷の水が気持ちよかったです。

 岩の上から数m下の滝壺にジャンプするときの爽快感、見えない急流の先に身を任せる恐怖感とその後の達成感。思わず声が出そうな興奮に頭の芯までスッキリしました(翌日は筋肉痛で地獄でしたが)。

 滝壺に沈む時にうっかり片目のコンタクトレンズを流してしまいました。もう片目は大丈夫だったので問題なくツアーを続行できましたが、軽くパニックでした。街中ならともかく、足場も悪い川の中です。もう片方が心配で思い切り楽しめなくなってしまったのは残念でした。こんな時は本当に不便です。

 普段から釣りやカヤックの際には予備のレンズを携帯しているので、すぐに対処できました。もし可能なら自分に合った1Dayタイプのコンタクトレンズを用意しておくといいですね。遊びに行くときのバッグだけでなく、普段使う通勤用バッグにも常備しています。もし何かトラブルがあっても、痛いのを我慢して使わず交換したほうがいいですよ。

 水泳や他のマリンアクティビティーの際にはゴーグルを使用するので油断していました。基本的に水中で目を開けてしまったらレンズは無いものと思ってください。私のレンズは今頃、東京湾にたどり着いた頃でしょうか。

 2週間や1ヶ月交換タイプのソフトレンズ使用の方は、おそらく問題無いと思います。しかしハードコンタクトの方は違和感が大きいでしょうね。乱視の矯正が今ひとつなので、見え方で不満が出そうですし、何より扱いが慣れないでしょう。感覚的には半分くらいの方が使えません。

 ただこんなスポーツをやる時や、旅行、出張の際に便利です。そしてドライアイやアレルギーの時に、レンズへの影響を心配しなくていい。花粉症の時だけ1dayという方も結構います。本当にひどい時は1dayでもダメですが。

 水中で目を開けてしまうとレンズが流れるだけでなく、目が洗われる感じとなって違和感が残ります。以前も取り上げましたが、目を洗うのは前世紀のやり方です。洗ってしまうと粘膜の機能が落ちて、感染もアレルギーも増えるので止めておいたほうがいいですよ。

 まだ南海上には台風がいくつも待機しているようです。海に出られるのはお彼岸の後でしょうか。

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posted by kawagucci at 08:43| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする