2009年07月06日

日食に注意

 もういい加減、梅雨にも湿気にもうんざりしてきました。路は水たまりだらけ、天気予報はくるくる変わる。晴れ間を狙い、今度は林試の森まで紫陽花を見に行ってきました。

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 中央の広場には七夕の飾り付けがありました。来週にはもう七夕ですね。仮に晴れても東京では天の川を眺める事は出来ません。それでもどうしても晴れて欲しい日があります。

 7月22日、日食の日です。南西諸島まで行かないと皆既日食は拝めませんが、東京でも部分日蝕は見られるそうです。

国立天文台 http://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/index.html

 情報によると7割くらい欠けるそうなので、久々の天文ショーになりそうです。私は小学生の頃に見た記憶があるのですが、実に46年ぶりということです。計算が合いません。次は26年先ということなので、生きているかかなり怪しいものです。これが最後のチャンスでしょう。

 当日は天気が許せば子どもと観察してみようかと思います(休診日です)。国立天文台にも注意が載っていますが、観察には十分気をつけて下さい。観察方法を誤ると、日光網膜症といって網膜を痛め、最悪かなり視力を損ないます。

 太陽光線は強烈です。バカでかいとはいえ、1億5000万km離れた人間の肌を焼き、これだけの動植物のエネルギーを供給しているわけですから。朝日や夕日はともかく、昼日中に太陽を直視するなんてとてもできません。太陽高度が低い時は大気層で青や紫の光は弾かれてしまって減っています。

 私は日光網膜症を実際に診察した事はありません。70年代にヒッピーのような人たちが太陽に向かってそれを見続けるような事をしたそうです。宗教かクスリか知りませんが、正気の沙汰ではありません。少し見ただけでも強烈な残像です。その残像そのままの形に見えない部分が残ってしまうそうです。

 眼底写真を教科書で見た事はあります。網膜の中心部分が白っぽく変色していました。これはちょうど魚や肉のようにタンパク質が焼けたためです。強烈な太陽光線のため、熱凝固したためです。

 網膜の中心部分は何かを見ようとして使う、一番感度の高い部分です。細胞の密度が濃いので褐色に見え、黄斑部と呼ばれています。ほとんどここで物を見ているといっても言い過ぎではありません。必ず真ん中で見たい物を捉えようとしますね。乱暴に言えば、それ以外の所がどうなろうと、真ん中さえ残っていれば視力の数字を出す事は出来てしまいます。

 必然的に、ここが焼けてしまえばかなり困ることになります。全部真っ暗にはならないまでも、見ようとする所がことごとく消えてしまいます。字も人の顔もダメです。こうなるとたとえ歩けても社会的には失明と同じダメージです。

 日食の際に事故が起こる事が多いそうです。くれぐれも気を付けて下さい。観察方法は国立天文台が推奨しているように、それ専用品を用意するか、間接的な観察方法がいいようです。私も売り切れる前に手に入れようと思うんですが、週間天気予報が出てからにしようかな。

 実はこの日食網膜症とレーザー網膜光凝固には関係があります。太陽光線で網膜が光障害を起こす事を逆手に取って、網膜の治療に応用としたのが光凝固の最初だからです。1945年のドイツで、マイヤー・シュビッケラート氏がレンズで集光した太陽光線で網膜の腫瘍を焼いたのが最初だそうです。ちなみにマイヤー・シュビッケラート氏は私も愛用した網膜剥離手術用の鈎に名前が残っています。

 お察しのように余り普及しませんでした。ドイツのような緯度の高い所では夏はともかく冬は太陽光線が弱い事、何より天気次第だからです。お金がかからないのは利点だと思うんですが。レーザー装置は以前は高価でした(今でもクルマくらいします)。

 その後は様々な光源を利用して改良され現在に至ります。このレーザー治療についてはいずれ詳しくお話ししたいと思います。

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2009年06月29日

スノーボール

 今週は梅雨の晴れ間がありました。晴れれば日差しは強く、真夏の暑さです。すぐまた雨の毎日ですが、束の間、夏が近い事を感じます。

 6月から始まった眼科検診ですが、予想通りほとんどの方が何も問題がありません。眼鏡が合っていなかったり、生理的な飛蚊症が有ったりするくらい。それでも日頃から疑問に思っていた事を解決できる機会になったかもしれません。

 散瞳して眼底検査まですると、全く健康な方でも何かしら見つかる事が多いです。網膜の周辺部に弱い部分がある周辺部変性症や、古い網膜裂孔や網膜剥離などを見つけました。レーザーなどを行う事もありますが、特別な場合を除いて放置しても問題ありません。

 経過観察する必要を説明しますが、時にただ不安を煽っているようになってしまいます。健診が無ければ、かなりの確率で一生知る事も無かった異常です。事実、このような異常は死後の剖検で初めて明らかになるケースが沢山あるという報告もあります。

 明らかに病名が付いて経過観察を要する場合は、不安が払拭されるまでお話をすれば良いでしょう。問題はむしろ、そこまでではない場合です。先天的な小さな瞳孔の奇形、網膜上のわずかなシワ、角膜の中心ではない部分のわずかな混濁など。放置して問題無いんですが、見て見ぬ振りも出来ないので、結局説明することになります。

 先日も星状硝子体症の方が来られて、説明したらビックリされていました。これも放置して問題無いものです。全く自覚症状は無かったようです。程度によりますが少し見難かったり眩しかったりすることもあるようです。

 これは眼球の中に白い細かい粒が沢山できるものです。カルシウムの白い小さな粒子がまるで雪のように目の中を舞っているように見えます。硝子体という目の中の透明なゼリーと共にこの白い粒子が動くので、少しゆっくり流動する感じです。これだけの濁りが有って、よく自覚症状が無いものだと、逆に感心してしまう程です。

 原因ははっきりしてませんが、糖尿病などと合併する事もあります。観察光を反射してキラキラと動く沢山の白い粒子はとても奇麗です。見る度にスノーボールを思い出してしまいます。クリスマスの置物で、ガラス玉に水と白い粉が入ったあれです。逆さまにすると雪のように白い粉がゆっくり降って、星状硝子体症にそっくりです。

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 これは院内にあるスノーボールです。ディズニーのナイトメア・ビフォア・クリスマスという映画のキャラクター物です。逆さにすると黒い小さなコウモリが空を舞うようになっています。まるで飛蚊症のようなので、説明する時に良いかなと思って置いています。

 眼の中はカメラと同じ暗箱です。通常であれば強い観察光などに曝される事無く、深海の洞窟のように真っ暗で静かな空間です。手術や検査でここを観察すると、そんな神秘的な空間を探検しているように錯覚する事があります。体全体から見れば、ほんの僅かな空間です。でもここほど静謐で奇麗な空間は他に無いんじゃないかと思います。

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2009年06月22日

リトマス紙は赤か青か

 梅雨入りしてから雨の日が多いですね。いつも天気予報を見て出かけます。降る予報で外れるとガッカリです。傘は邪魔だし、自転車に乗れないし。見事に折り畳み傘を出先に忘れてきました。

 晴れ間をぬい、カメラを抱えて外出しますが、いつ降り出すか気が気ではありません。実際、何度か降られてしまいました。みんな葉っぱの裏に隠れてしまって被写体が見つかりません。空振りで帰る事もしばしばです。写真ネタが枯渇しつつあります。

 この時期に奇麗なのは、何と言っても紫陽花です。紫を中心に青から赤まで、様々な花が楽しめます。生えている場所のPH(酸性度)によって色が決まると聞いていましたが、実際はそれほど単純なものではないようです。アルミニウムイオンの吸収量がPHによって変わるためのようです。

 理屈はともかく、土壌が酸性ならば青、アルカリ性ならば赤と言うのは受け入れられやすかったのかもしれません。PHを測定するリトマス試験紙の色は、紫陽花の花のような色です。くすんだ淡いピンクとライトブルーは理科実験室で見た事がありませんか。

 リトマス試験紙に染み込ませてある試薬はリトマスゴケという苔から作られているので、紫陽花とは何の関わりもありません。それでも紫陽花を見る度に、酸性とアルカリ性が呪文のように連想されてしまいます。

 病院にはリトマス試験紙などのPH測定キットが常備されています。私も時々、使うことがありました。目の中に洗剤や化学物質が飛入した場合です。多くの洗剤のように、ほぼ中性の場合は心配ありません。酸性度が極端な場合、つまり強酸や強アルカリの場合は大変です。

 もう大分前の事です。ある病院で日曜の当直をしていた時です。早朝に入院患者さんたちの処置に追われていたら、外線で救急要請がありました。"視力障害のありそうな酔っぱらいが来ます"との連絡です。私はいささかウンザリしながら外来に降りて行きました。この時は未だ嵐の前でした。

 週末は酔っぱらいがたくさん搬送されてきます。さんざん飲んだ上、転んだり喧嘩したりして救急車のご厄介になるのです。多くは軽症ですが、なにせ酩酊していたり事情を理解していないので、問診するのも大変です。結局、暴れたりするのを押さえ、洗いざらい調べた上、苦労して縫ったり貼ったりする事になります。

 救急外来のベットには若い男が気持ち良さそうに寝ていました。近づくと強烈な酒臭さと、かすかにアンモニアの臭いです。救急隊員からの申し送りでは繁華街の路上に寝ており、交際中の女性が発見、通報したとの事です。顔と服は昨夜の雨と泥で汚れ、目の周りを中心に擦りむいたように赤くなっています。この時点では、転んで目を打ったのかなと思いました。

 声をかけてもほぼ無反応で、時折ガラガラ声を出すだけ。しょうがないので、ベット上で診察を始めました。開瞼して仰天しました。目の中が真っ白なのです。本来、黒目があるはずの部分は白目と同じ白く白濁して、妙に柔らかくツルツルです。ただれた瞼からヌルヌルと涙が出ています。

 ここではっとしました。手に付いた涙がヌルヌルするのは私の指の表面が溶けているから。慌てて手を洗い、グローブをはめ、PHの測定キットを取ってきてもらいました。涙を測ってみると強アルカリ。

 大急ぎで生食のボトルを何本も持ってきて上から吊るしました。点滴をするのではなく、それでジャージャー流すのです。ゴシゴシ洗っているうちに顔の泥が取れ、目の周りと口許が赤くただれているのがハッキリしてきました。目の中を洗うと、表面の組織がボロボロと取れてしまいました。あんまり洗うと目が無くなってしまうのではないかと思う程です。

 30分以上も洗って、もう一度PHを測定すると中性になっていました。中和も考えましたが、とりあえずその必要は無いようです。酸の場合は目に入った時点で表面が焼け、それ以上、障害は進展しません。表面のタンパク質が変成するためです。ところがアルカリの場合、いつまでも組織に浸透し、時間とともに障害はかなりの深度まで及んでしまいます。映画エイリアンの体液で船が溶けてしまうシーンのようです。とにかく洗ってアルカリを流し、痛んだ組織を除去しなくてはなりません。

 処置中、看護師さんから早く警察に連絡しましょうと言われました。うっかりしていましたが、これは尋常ではありません。普通に飲んでいて目に強アルカリが入る事など無いからです。しかも冷静に考えてみればガラガラ声も口許のただれも強アルカリを飲まされたからかもしれません。よく見れば指先もただれ、ジーンズに焼け焦げがあります。ダメージジーンズでは無かった。

 ちょうど外科からも当直医が来て、一旦、眼科からは離れました。しかし眼科的な予後はこれから大変です。目の表面が焼けてしまうと元通りにするのは大変なのです。黒目は白くなって透明性を失い、光を通さなくなってしまいます。表面の粘膜は再生に必要なお母さんの細胞が無くなって、正常に再生されません。

 粘膜が無くなると目の表面は乾いて、まるで皮膚のようになってしまいます。瞼と目の玉が癒着してしまう事もあります。本当は目の表面は口の中のようにいつも濡れているような状態でないといけません。そうしないと涙液から酸素や栄養分をもらえず、粘膜は生きていけないからです。結果として角膜移植などを行っても無駄になります。最終的には目の表面を全体的に再生させるような、大規模な手術が必要になります。

 駆けつけた刑事さんは、待合室にいた交際中の女性を連行したと聞きました。結局、どういう経緯で、何が使われたのか私には分かりません。その男性のその後も、紹介先から角膜移植と羊膜移植という難しい手術をしたという連絡が来たっきりです。今、どうなっているのか知る由もありません。その後も続々と到着する救急車のサイレンにかき消され、振り返る事も無く今日まで来てしまいました。

 先日、似たような事件が中東の方であり、被害女性が失明したそうです。イスラム法にのっとり、加害者の男性には同じ薬品による失明という刑が言い渡されたそうです。目には目を、歯には歯を、ですね。

 酸やアルカリによる外傷を化学外傷といいます。

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2009年06月15日

1千2百の瞳

 とうとう梅雨入りしてしまいました。これから1ヶ月も鬱陶しい季節が続きます。普段は自転車で楽しくさえある通勤も、傘を持って蒸した電車に詰め込まれてではゲンナリです。

 温度も湿度も高くなってくると、いよいよハウスダスト・アレルギーのシーズンです。気温25度以上、湿度60%以上ではダニが増えるためです。ちょうど1年前にも紹介させて頂きました。

太陽の匂い http://toritsudai-ganka.seesaa.net/article/101117561.html

 先週は半日お休みを頂いて、校医を拝命している小学校の眼科検診を勤めさせて頂きました。これは毎年、プールの前に行われているものです。目的は大きく二つ。プールによって悪化する可能性のある疾患、例えばアレルギー。そしてプールを介して伝染する疾患、例えばウィルス性結膜炎。これを見つける事です。

 600人を半日で次々に診察するので、始まったらトイレにも行けません。一人当たりに割ける時間は僅かです。しかし普通の診察と違って、問題のある児童を見つけることが目的なので、それで十分です。あくまで見つけるだけで、診療を目的としていないためです。よって細かい診断やフォローは、その後に眼科で診てもらう必要があります。

 ほとんどの子どもたちは、いたって健康です。睫毛内反やアレルギー、その他で全部で20人もチェックしたでしょうか。特に深刻な症状の児童はいなかったと思います。気になる症状も無かった訳ではありませんが、その場で診断は出来ません。用紙に適当な病名が無ければ診断名も伝える事は出来ません。それらしい病名を選び、後は病院に任せる他ありません。

 子どものかかった先の病院で、こちらの意図が伝わるといいですが。通常に診療と違って、見っぱなしというのはどうも落ち着きません。

 それでも600人の子どもたちを診るのは楽しかったです。ほんの幼稚園児のような1年生から、大人と見まがうばかりの6年生まで、小学生といっても様々です。恥ずかしそうな子、落ち着きの無い子、斜に構えた子、生真面目な子。

 好奇心と不安の浮かぶ、そのたくさんの眼に見つめられていたのは逆に私の方です。ともすれば流れ作業のようになってしまいがちです。でも出来るだけ一人一人に"ちゃんと見たよ"と伝わるように、まさにその目を見て診察したつもりです。

 子どもが減っているといわれる目黒区です。寂しい事ですが、だんだん児童数は減ってしまうかもしれません。私が卒業したのは70年代の世田谷区立の小学校でしたが、全校児童1500人でした。遅ればせながら、待機児童手当給付など始めた目黒区ですが、間に合いますかどうか。

 先輩開業医の中には廃校によって校医の仕事が無くなってしまった都心部の先生もいます。私はできれば長くこの仕事をさせてもらいたいと願っています。直接、地域医療をしているという実感を持てる仕事はそうはありません。

 卒業以来30年、小学校の中に入る機会はそうはありませんでした。こんなに椅子はちっちゃかったのか、こんなに水道の蛇口は低かったのか、大人だと思っていた先生が自分と同世代である事に少し驚きです。

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2009年06月08日

 久しぶりに晴天の日曜日でした。気象庁の発表は未だのようですが、入梅したような1週間でした。ジムに行きがてら、代々木公園を自転車で走りました。最近はドッグランがあるようで、犬を連れた人が沢山いました。駒沢公園もそうですね。

 それにしても本当に様々な犬がいます。ラブラドール、シェルティ、チワワ、パグ、アフガンハウンド。我が家の犬は、"たぶん柴犬"。私が子供の頃と比べ、最近は雑種を見かけない気がします。

 ケンネルクラブなどによると、犬の種類はこの200年くらいの間に増えて300種を越えるそうです。大きさも特徴も、同じ犬という種の中でここまで極端に違うのは珍しいですね。セントバーナードとチワワを見て、同じ種とはとても思えません。全て人間が交配によって人工的に生み出した結果です。

 それぞれの犬種はスタンダードな姿形が決められていて、耳や尻尾の形など理想的とされる細かい決まりがあるそうです。最近ではその基準があるがために、ドッグショーなどを舞台に様々な問題が起きているそうです。

 野生動物としては不自然な特徴を追求した結果、骨格や運動に支障を来すケースが報告されています。例えばパグはその短い鼻のために呼吸障害を起こします。他にも関節脱臼や背骨の変形が知られています。

 また、優秀な姿形を作り出そうとすれば、優秀な血統を交配することが一番の近道です。その結果、近親交配が進み、犬種特有の遺伝病が蔓延することにもなっているそうです。

 客観的に見て、犬の祖先であるオオカミと比べ、あまりにかけ離れた姿形をしている犬種が存在します。その変化は好事家にとっては好ましくても、一般的にはデフォルメされた奇異な姿と映りかねません。写実的な人物画と、アニメや漫画のキャラクターくらい差があります。

 動物の進化は自然環境の変化に適応して結果、数万年単位の淘汰を経てきたものです。確かに一部の生物では極端に進化した特徴を持ちますが、それも整合性があるものです。短期間で人為的に生物の姿形を変える事には少し違和感を感じます。

 近年、我々の医療分野でも遺伝子関連の研究はめざましいものがあります。今まで根治する事の叶わなかった多くの遺伝疾患が克服できるようになるのは素晴らしい事です。疾患の原因遺伝子が特定され、新たに改変された遺伝子が導入される、そんな遺伝子治療はもうすぐ現実のものとなるでしょう。

 それが当たり前になったその後はどうなるでしょうか。病気の遺伝子が無い事はもちろん、近視じゃない方がいい、目は明るい色の方がいい、二重の瞼がいい、だんだん要求はエスカレートするかもしれません。既に手段は違え、同じような事を我々はしています。

 人間がその見た目を好ましいと思う特質はそれほど多様性はありません。しかもその好きと感じる刺激は不自然な程に大きくとも構わないそうです。将来的に我々は自分や子供の姿を不自然に変化させるようになるかもしれません。

 純血種のように遺伝的多様性が失われれば、少しの環境の変化でともすれば絶滅する事もあり得ます。多くの生物は進化の果てに後戻りできない程の変化を起こし、やがて種の寿命を迎えます。進化の袋小路と呼ばれています。我々はどうなるでしょうか。

 犬は可愛いですね。彼らは何も言いませんが、人間の都合に付き合ってきて、果たして幸せだったのかどうか。共に暮らし始めて1万年以上、お互いの発展に欠かせない存在だったと思います。お互いに幸せな未来があるといいです。

 私はもう犬を飼わないかもしれませんが、飼うなら寿命が長くて病気に強い雑種にしようと思います。今週はあんまり眼科と関係ないし、支離滅裂になってしまいました。

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2009年06月01日

眼科検診

 もう梅雨に入ってしまったかのようなこの頃です。降っていなくても蒸しますね。自転車通勤できないので電車に乗りますが、車内はサウナのような湿度です。これから7月半ばまで、きっとこんな天気が続くのでしょう。

 6月から目黒区では眼科検診が実施されます。私が入会する以前から、医師会の方で準備を進めていたようで、当院もその実施機関の末席に加えて頂きました。

http://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/hoken_eisei/shinryo/gankakensin/index.html

 対象となるのは目黒区に住所を有するかたで、今年度中に年齢が40・45・50・55・60・65歳になるかたのみです。内容は問診、屈折検査、矯正視力検査、細隙燈顕微鏡検査、精密眼圧検査、精密眼底検査(医師が必要と判断した場合のみ)、眼底カメラ撮影、前房隅角検査、と眼科で行う一般的な検査はほとんど網羅されています。

 これまでも眼科で公費の検診というのは行われてきました。私がこれまで働いてきた都内や神奈川県の病院でも様々な検診の紙が回ってきて、その度に内容を覚えるのが大変でした。

 しかし多くは内科的な検診のオマケのような位置づけでした。眼底所見を直接見るか、カメラで撮るかして確認するだけです。よくて視力と眼圧を書く欄があるだけでした。詳しく聞いてくるのは資格試験や特殊な学校の書類くらいです。

 この検診の目的が、高血圧や糖尿病の評価を補足する事だからです。こうした内科的疾患では網膜血管に変化が現れます。それを内科的治療の診断や評価に用います。目の中は身体の中で唯一、血管を直接観察できる場所です。動脈硬化などを評価するには、エコーや血液からももちろん分かります。しかし直接観察できるメリットは計り知れません。

 これまで検診を主導してきたのが内科医であったため、誤解を恐れずに言えば、それら以外の眼科的所見に興味は無かったとのだと思います。これを眼科医主導で眼科の病気を見つけるために検診を行うようにした意義は大きいと思います。

 40代以降で20人に1人と言われる緑内障、これは悪くなって視野が欠けてしまえば取り返しがつきません。自覚症状に乏しいので早期発見、早期治療することで深刻な状態になる事を防ぐ事が大いに期待できるでしょう。

 欧米では失明原因のNo.1で、我が国でも急増中の黄斑変性症。これもまた中年期以降に早期発見する事によって、進行を遅らせる事が期待できます。遺伝的な網膜疾患なども
中年期以降に明らかになってくるケースが少なくありません。人生の半ばで、その後の事がいくらかでも予測できれば、準備や覚悟をすることもできるかもしれません。

 これまでコンタクト診療などで、たまたま網膜剥離や網膜裂孔を発見することも稀ではありませんでした。もしあれば、予防的な処置や定期的な観察で注意を喚起する事が出来ます。実際は眼疾患なのに、目が悪いだけだと思っている方は結構います。

 これまでの検診では限界がありました。例えば検診時に視神経乳頭の陥凹などを発見しても、その場でできることはそこまで。公費で運用されているので、検診システムで規定されている以上の事は出来ません。怪しいから後日改めて検査しましょうと伝えても、いらっしゃらない方はいます。

 また検診のついでに目に関して日頃感じていた症状や不安を口にされる方は多いです。見難いと言われれば、視力も測りたくなるのが我々としては当然です。検診の紙の欄外に所見を書き込んだり、本人に事情を説明して改めてカルテを作ったりしなくてはなりません。

 多くの方は何の異常もなく安心して帰ってゆくでしょう。でも中に1人でもこれまで分からなかった問題が明らかになれば、検診の意義が果たされた事になります。

 ヒルガオを採ると雨が降る、と言うそうです。昼に咲いているから雨に打たれる姿を見る事が多い、そんな事が言い伝えの由来かもしれません。

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2009年05月25日

見えない光

 今日は雨の日曜日になってしまいました。せっかくの休日が雨だと、がっかりしてしまいます。夜になって雷まで伴う激しい降りになったようです。

 小雨の降る曇天でも、日中はそれなりに紫外線が強いので注意が必要です。以前にも紫外線による目の病気について触れましたが、紫外線は基本的に身体に毒です(最低限は暴露される必要がありますが)。

 オーストラリアでは、子供に日焼け止めを塗ることが法律で親の義務とされているそうです。もともと北緯60度のイギリスから移住してきた白人の国ですから、仕方ないのかもしれません。オーストラリア原住民のアボリジニたちの肌を見れば、いかに紫外線の強い地域であるかは一目瞭然です。

 よくサングラスをかけた方が良いか尋ねられます。眼鏡を新しくする時などに、色を入れた方が良いか気になるようですね。UVカット対策のものであれば、日焼けのあとで分かるように効果はあると思います。ただ色や濃度については、真黒の方がいいと思ってらっしゃる方が多いようです。

 極端に濃い色では、視界がかなり暗くなります。そのため瞳孔が開いて、かえって端の方から差し込む紫外線が増えてしまいます。サングラスは正面の光しか遮ってくれません。試しにかけてみれば、薄い色でも充分に眩しさを減じ、効果がある事が分かるはずです。

 色については諸説あります。運転なら信号の赤が見やすい緑がいいなどと言われていますが、余りこだわらなくてもいいようです。顔色や髪の色と合わせて、お好みで選ばれれば良いでしょう。意外に感じられるかもしれませんが、妙齢の色白の女性ではピンク色も似合うと思います。白内障の術後などで作るケースがありますが、血色が良く見えていいですね。

 眼科と紫外線については、老化というキーワードで今後も色々と興味深い話が出てくると思います。以前は白内障や角膜障害、翼状片などを取り上げましたが、黄斑変性など眼底疾患についてもいずれ取り上げたいと思います。

 余談ですが、眼科で一番使われていると思われる抗菌点眼薬は紫外線と意外な接点があります。ものもらいや結膜炎などで、よく処方されるものです。その効果や副作用、目の奥への届きやすさを調べるために紫外線が使われます。キノロン系抗菌薬は紫外線の励起光を当てると光ります。その性質を利用して、すりつぶした組織の中の抗菌薬の量を調べる事が出来るためです。

 以前、何かの雑誌でそうした実験の論文を読んで、合点がいった事があります。大学病院に居た頃、忘年会の二次会か何かでカラオケにいきました。その店は暗い照明にブラックライトを配した凝った作りになっていました。ブラックライトは言わば紫外線灯です。

 蛍光増白剤の入った漂白剤で洗濯した白いシャツなど、妖しく光って面白いですよね。深海のような雰囲気を楽しんている中、1人のドクターを見てみんなギョッとしました。薄暗い中、そのドクターの顔は目の周りから頬にかけて、幾筋も光の線が描かれていたのです。まるで歌舞伎の隈取りです。

 もうお分かりですね。そのドクターはキノロン系点眼薬を差していて、肌に残った薬剤が紫外線のため蛍光を放っていたのです。ミラーボールの回る楽しげなフロアで、1人幽霊のような顔は余りにも場違いで気の毒でした。

 駒沢公園で、先日撮影したモンシロチョウです。これはメスです。どうして分かるかというと、太陽の下にあってオスよりわずかに黄色っぽいからです。実はモンシロチョウのメスの翅は紫外線を吸収し、オスは反射します。そのため、我々にはオスは白が鮮やかで、メスはちょっと黄色っぽく見えるんです。彼らは紫外線を見分ける事が出来ますので、オスにはメスが濃い色として区別されているはずです。

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2009年05月18日

近くが得意

 晴れれば高気圧に覆われ肌を焼く暑さ、降れば梅雨の走りのような風と雨です。この時期は天気が読めないですね。運動会や遠足などイベントのある時期で、天気予報を気にしている方も多いのではないでしょうか。

 学校の視力検査の結果をお持ちになる方が増えました。まだ開院して1年の当院ですが、去年も視力を測らせてもらったお子さんが、1年ぶりに来院することもあって感慨深いです。ちょうど小学校高学年や中学生くらいだと、見違えるほど大きくなっていて驚かされます。

 まさに近視が問題になるのがこの年頃です。眼鏡が必要になるケースも多いです。どうしても眼鏡を嫌がる方もいて、どうお話しして良いものか気を揉みます。本人というより、ご両親に抵抗がある事が多いようです。

 薬やトレーニングをして治らないのか、よく尋ねられます。残念ながらその多くは難しいです。そのような治療が有効な近視を調節緊張と言いますが、仮性近視と言った方が通りが良いかもしれません。この仮性という言葉があらぬ期待を持たせ、混乱を招いているように感じます。

 目はカメラと同じように、レンズとフィルムがあります。レンズを水晶体、フィルムを網膜と言います。レンズを厚くして近くにピントを合わせ、薄くして遠くにピントを合わせるようにしていますが、この力(調節力)は年代によって大分違います。幼児期はとても強く、老年期はほとんど失われます。失われると老眼といってピントの合う距離、範囲が狭くなってしまいます。

 幼児期の調節力の強さ故に、レンズが過度に緊張して麻痺してしまうようなことが起こることがあります。レンズが厚くなったまま固まってしまえば遠くは見えませんから、みかけ上は近視に見えます。これを調節緊張(いわゆる仮性近視)といいます。これなら眼鏡をかけなくても、薬やトレーニングで緊張を解いてやれば元の状態に戻す事が出来ます。むしろ眼鏡は有害です。

 でもこれは全体の5%くらいしかいないと言われています。ほとんどが"本物の"近視という事になります。

 世に数多ある近視矯正の民間療法は、この辺りを拡大解釈しているように感じます。悪く言えば、ご両親の眼鏡を避けたい気持ちを巧みに利用していると言えます。

 多くの場合、成長に伴って目が大きくなる事が近視の原因です。まさに成長期、目が大きくなると直径が長くなります。レンズとフィルムの距離が離れますから焦点が結べなくなってしまいます。かといって目を縮める訳にはいきません。眼鏡というレンズを外にかざして焦点距離を調整しないといけない訳です。

 最近では近視の始まる年齢がどんどん低年齢化しています。そのあたりも本物か、本物でないのかという判断を難しくさせ、またご両親を心配させる要因ではないかと思います。

 近視の原因はまだはっきりわかっていません。即ち近視をコントロールしたり治す方法もまだ見つかっていないと言う事です。色々な研究が行われており、遺伝的な背景とその要因について少し分かって来た程度です。よってアドバイスできる事は実はそれほどありません。その辺りの詳細はここでは割愛させて下さい。

 近視は眼鏡やコンタクトレンズを必要とする場合、経済的な問題、コスメティックな問題などに直面します。病的なほど強ければ、さまざまな病気の原因ともなります。目が大きくなることによって、目のバリア機能などに影響するため、あらゆる老化を加速させるためです。老化に伴う病気、例えば白内障や緑内障、網膜硝子体の一部の病気は頻度が増してしまいます。

 しかしある程度の近視であれば、そう悪いものではないと思います。現代の生活において、多くの情報は視覚から、しかも眼前50センチ以内からのものが多いです。本もモニターも近い所にあります。軽い近視の方はその辺りが一番楽に見える焦点距離になります。確かに遠くは見えませんが、眼鏡などが無くても机の上では困らない。

 先ほど老眼の話をしましたが、若い頃に"目が良い"と自慢していた方の多くは遠視です。よって遠くが一番見えやすいわけです。中年以降、調節力の低下(ピントの合う範囲が狭くなる)の結果、裸眼では遠くしか見えなくなります。そう、老眼鏡が無いと近くは全く見えなくなります。

 "目が悪い"方たちは老眼鏡無しで最後まで手許にピントが合います。調節力が失われても元々そこが一番見える所だから。現代生活でこれは本当に"目が悪い"のでしょうか。人類10万年の歴史で、文字などの情報伝達の手段を持って一万年未満と言われています。まだ身体の方は近くを見る事に適応していないのかもしれません。しかし近視の方はいち早くこれに適応して進化しているとも言えませんか。

 近視は決して悪い事ではありません。"目が悪い"という言い方はそろそろ止めましょう。近くが得意、っていうのはどうでしょう。

代々木公園のタイフェスティバルに行って来ました。あいにくの天気ですが、しばしバンコクの屋台に思いを馳せる事が出来ます。

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2009年05月10日

空気中に浮遊するもの

 台風のような雨が降ったかと思ったら、急に暑くなりました。ここ数日は真夏のようですね。連休はいかがでしたでしょうか。海外に出かけた方は新型インフルエンザの影響を少なからず受けたのではないでしょうか。

 私は旅行にも出かけずに、家でテレビを観ていました。空港の検疫官が重装備で対応に当たっている様子が映っていました。ディスポーザブル(使い捨ての)防護服やマスクを着用していましたが、あれは紙のようなもので出来ています。

 我々が手術の際に使う術着と似ています。検疫官のものは自分の身を守るためのものです。それに対し、術着は患者さんを感染から守るために使うものですから、身に着けたまま外は歩きません。

 見ていて検疫官に同情を禁じ得ませんでした。あれは通気性の悪い素材で、着ているととても暑いです。帽子とゴーグルまで着けます。最悪なのはマスクです。通常の手術用や市販のマスクと違い、細かい粒子も通さないような素材です。着けていると非常に息苦しいんです。涼しい手術室と違ってこの陽気です。彼らはきっと汗だくでしょう。

 私は数年程、埼玉県の研究施設で研究に携わっていた経験があります。その際に、感染の恐れのある粒子が浮遊する室内で実験しなければならない事がありました。バイオハザード(ゲームや映画ではありません)に準じた対策をとる必要があり、あの防護服を何度も身に着けた事があります。

 空調の止まった室内での作業でした。汗が噴き出し、ゴーグルが曇り、息苦しさで気分が悪くなって来ます。とても冷静にデータを取る事なんて出来ないと思いました。我慢できて3時間が限界で、全てを脱ぎ捨てて外に出られた時の開放感は格別でした。サウナスーツと同じで、脱水症状を起こし2、3キロは痩せます(笑)。

 あの格好は短時間の接触による危険を避ける事を目的としているので、着けたまま長時間の作業を行うようには作られていないと思います。かといって息苦しくないようにマスクの目を粗くしたら、空気感染を起こすウィルス粒子は簡単に通してしまいます。町中で感染はしないでしょうが、明らかな感染者と接触する事は出来ません。

 眼科なので、直接の影響は今の所ありません。症状も軽いもので、世間の反応も冷静だと思います。強毒性のウィルスの出現や、季節性のものが出てくる秋以降の事が心配ですが、とにかく今は世界的流行の沈静化を祈るように待っている状況でしょう。

 連休が明けて、いよいよ花粉症も終わりと言っていいでしょう。まだヒノキが少し残っているようですが、点眼や内服している方は少なくなりました。ちなみに花粉の粒子は大きいので通常のマスクで充分です。環境省のデータをダウンロードしてきました。都立大が参考になるのは一番近い南側の観測点、武蔵小杉の日本医科大学武蔵小杉病院でしょう。

日本医科大学武蔵小杉病院2009花粉情報.png

 外来をしていて実感した通り、春一番の吹いた2/18と、ようやく暖かくなって来た3/14にピークがあるのがわかります。ここで一気に症状が出た方が多かったんではないですか。急に痒くなったので掻きこじってしまい、悪くしてしまった方が多かったように思います。アレルギーとは炎症ですから、擦ったり叩いたり刺激すれば、かえって悪化します。

 最近では初期療法(季節前投与)といって、花粉飛散の2週間程前から点眼や内服を行う方法が紹介されています。花粉症はアレルギー反応を起こす物質が詰まった肥満細胞と言う袋が破裂して、かゆみや鼻水や涙などの症状を引き起こします。IgEという抗体が花粉と結合し、この袋を破裂させる鍵となるのです。この袋はいつも目や鼻にあるわけではありません。

 夏に花粉症の方に花粉を降り掛けたらどうなるでしょう。すぐにクシャミや鼻水、目のかゆみがでるでしょうか。実は余り出ないそうです。これは肥満細胞という袋が目や鼻に集まってきてないからです。

 毎年、年末頃から花粉の飛散が少しずつ始まり、花粉症の方は少しずつ花粉と接触していきます。それによって徐々に体中から鼻や喉に肥満細胞の袋が集まってきます。そして天気の良い春一番の日に一気に破裂してひどい症状が襲ってくるのです。

 もし、花粉飛散当初から肥満細胞の袋が集まらないように薬を使っておけば、夏の時と同じように症状をかなり抑える事が出来るというのが初期療法です。袋が無ければ症状が出ないという理屈です。実際にはピークが少し楽なくらいで、発症しないという事は無い印象です。

 来年も年明け頃から花粉飛散情報がメディアに出るでしょう。飛散予想日がおおよそ分かったら、その2週間程前に点眼や内服を始めるといいでしょう。

 それにしても減感作療法だとか、免疫抑制剤とか、いろいろ出てきています。抗アレルギー薬だけで我慢する時代では無くなりましたね。それでもなお克服できないのはアレルギーがひとりひとりの内因性の要因によるところが大きいからでしょう。

 さる1月末に喘息の治療薬として抗IgE抗体製剤が認可されたようです。これは多くのアレルギーの原因である即時型アレルギーを起こすIgE抗体をブロックする薬です。これまでの対症療法的なものではなく、原因を直接ブロックすることになります。

 先にお話しした通り、IgE抗体が肥満細胞という袋を破裂させる訳ですから、これをブロックすれば理論的にはアレルギー反応は出なくなる訳ですね。喘息に対する効き目などの情報は分かりませんが、もし点眼などが開発されれば面白い事になりそうです。

 石垣島から送って頂いたパインです。彼の地は今月末には海開きです。もうこうなると早く夏が来ないか待ち遠しいですね。

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posted by kawagucci at 23:03| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月27日

アルコール

 台風並みの低気圧が通過したせいで、ひどい雨と風でした。まだ5月にもなっていないのに、先が思いやられます。今日も強風が残り、自転車だと押し戻される程でした。しかし低気圧が抜けたその後は、いつもカラッと晴れて気持ちがいいですね。

 六本木ヒルズの映画館に"レッドクリフ2"を観に行きました。諸葛亮に金城武というのは、なかなか合っていますね。見終わってから中華、特に四川料理が食べたくなってしまいました。

 このヒルズからほど近い赤坂の桧町公園で、SMAPの彼が大量飲酒して裸になっちゃったそうですね。アルコールというのは恐ろしいです。酒を覚えたばかりの頃は、誰でも一つ二つの恥ずかしい思い出があるのではないでしょうか。

 アルコール中毒というのは、行き着くところは悲惨です。身体も心もボロボロになってしまいます。以前、ある公立病院の精神科病棟には多くのアル中が入院していて、時々そこまで往診しました。普通の病棟とは大分、雰囲気が違います。

 見えていないようだ、とか、逆に何かが見えるという訴えがありました。本当に見えているのか、頭の中でだけ見えているのか、診てみないとわかりません。小刻みに震える頭を固定して診察します。ポータブルの診察器具で光を当てた段階で、対光反射が鈍いのが分かります。レンズで眼内を観察すると、すでに神経の色は白っぽくなっていて萎縮が認められます。

 視神経の働きが衰える視神経症となってしまっていると、もはや回復は難しいです。多くはアルコールとその他の薬物、タバコなどや、極めて酷い栄養状態から来るものと思われます。凄まじい生活環境がうかがえます。病棟を後にして、暗澹たる気持ちになります。カルテを見ると、退院してもまた戻って来てしまう方が多い事が分かります。

 アルコールで目が見えなくなると聞くと、メチルアルコール中毒を思い出す方もいらっしゃるでしょう。戦前戦後の混乱期は、密造酒に水増し用として混入されて被害が広がりました。我々が普通に摂取しているエチルアルコールは(通常の量では)そのような急性中毒は起こしませんが、長期間大量に摂取すれば危険です。

 以前は少量の酒は薬になると言われて来ました。ワインの効用なども研究されて来ました。しかし、ここ最近の研究成果をみると、あまり積極的に飲酒を支持するようなデータは出て来ないようですね...。

 やはり酒は程々に楽しく、というのが一番でしょうか。自重もこめて、気を付けたいと思います。

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posted by kawagucci at 00:04| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする